現代歌人ファイル
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 歌崎功恵 bokutachi.hatenadiary.jp 死は橋を渡るごとしと思うときわれは美しき橋の設計者とならん また一つ橋を越えてと君が言う夜更けの電話に自慰をさらして 解説に 「橋」のメ…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 熊岡悠子 bokutachi.hatenadiary.jp 「祭りまで」が町の口ぐせ残暑も家の普請も病のことも 「茅渟(ちぬ)の地車(だんじり)」で第15回歌壇賞を受賞されているそうです。この「祭…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 五島諭 bokutachi.hatenadiary.jp ラジカセの音量をMAXにしたことがない 秋風の最中に この人の歌、すごいなって思いました。元記事読んでいただきたいのですけど、読んでると…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 増田静 bokutachi.hatenadiary.jp 正式に夏を迎えてボーナストラックのごとき一日を君に ああ、この歌、いいなって思いました。福岡出身の方で、大学から沖縄に住んでいるそうです…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 杉森多佳子 bokutachi.hatenadiary.jp うら若き女性兵士が捕虜となる「虜」とは男がとらわれる文字 ふいに止む噴水の筒 銃口の闇を思えばまばたきできず こんな、戦争を詠った歌が…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 日置俊次 bokutachi.hatenadiary.jp 水中に堕ちたるかほで笛鳴らす石の天使は熾(ひ)の煤まみれ 東大文学部卒でパリ第3大学に留学し、青山学院大学教授らしいです。パリを舞台に…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 小林久美子 bokutachi.hatenadiary.jp つなぐ手をちょっとはずしてはめてみるさそり・がいこつ・こぶらのゆびわ たいようにちかいくらしはおわろうとしていることがとてもわかるよ…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 小野茂樹 bokutachi.hatenadiary.jp 朝霧に日のかたち見ゆあたたかき眼をおもひつつ家出づるとき 読んでいてどれも美しいのですが説明しにくいなぁと思いました。これは多分家族(…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 中沢直人 bokutachi.hatenadiary.jp エリートは晩秋の季語 合理人の孤独を移す水面静けし 「エリートは晩秋の季語」に、ええ?そうなの?と思って調べたら特にそのような記載はな…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com しおみまき bokutachi.hatenadiary.jp わたくしはきままれーどなひのひかりからめてねむるバナナデニッシュ 気まま+マーマレードなのかな。ひらがな表記がかわいくて、でもぱっと…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 古谷智子 bokutachi.hatenadiary.jp 泳ぎゆく君は視界を遠ざかりつひに見知らぬ男の背 この人のプロフィールを見ると、 1944年生まれ。青山学院大学文学部卒業。1975年に中部短歌…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 我妻俊樹 bokutachi.hatenadiary.jp おはようおはよう、さいごのドアをたたくとき 背後のドアは叩かれている この人は怪談作家としても活動していて、歌葉新人賞には2003年の第2回…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 高木佳子 bokutachi.hatenadiary.jp 子のあるを昏(くら)き芯とし笑むわれは母とふ言葉に唇を噛む 母であるということをアイデンティティの核としたくないと思う一方で、「母」で…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 中野昭子 bokutachi.hatenadiary.jp かがやかぬ裏側見せて飛行機が夏の三時を過ぎゆきにけり いま降りたる電車にわれの坐りいし席がホームを遠ざかりゆく この人は、「ないもの」…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 和田大象 bokutachi.hatenadiary.jp キャプテン・シンドバッド浸水感知せず船荷の罌粟(ポピー)はげしき発芽 黒胡麻すり潰しをれど なほのこる粒 野望などとうに忘れた この人は…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 山田富士郎 bokutachi.hatenadiary.jp 悪意はもう時代遅れだ花柄の透明の傘街にふはふは 悪意はもう時代遅れ。これはいつの時代の歌なんだろう、と思って解説を見てみると、1987年…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 中山明 bokutachi.hatenadiary.jp かなしみにおぼれるやうにたしかめるやうにあなたの掌に触れてゐる この人は『短歌タイムカプセル』でも取り上げられている、 ひぐらしが鳴くま…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 山下泉 bokutachi.hatenadiary.jp 花の名を唱えつつ入る治療室 わたしがわたしに戻る水辺よ ゆらゆらと出光画廊の角膜に月の哀しみのムンクは架かる 「病院」と「画廊」をモチーフ…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 尾崎まゆみ bokutachi.hatenadiary.jp 光こそ永遠(とは)に崩れて星屑に奪はれてゐるたましひのこと この記事は2011年の3月16日、東日本大震災直後に投稿されています。この人阪…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 真鍋美恵子 bokutachi.hatenadiary.jp 捕へたる蜘蛛をかまきりは食はんとす優位なるものの身の美しく 受身なるものの素直な態(さま)にして給油されゐる黄の車あり 前回『短歌と…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 西勝洋一 bokutachi.hatenadiary.jp 自らをつねに〈未完〉とおもうべし澄みし水辺のわがナルキソス 冒頭にこの歌が引用されるので、耽美、青春、前衛、とかそういう系統なのかなぁ…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 野樹かずみ bokutachi.hatenadiary.jp 誰も見ることなき裏の顔を持つ月球ひとつ抱けりわれも 月の裏側は見えないってよく言いますよね。この人の「月」の歌が好きです。解説にこう…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 相良宏 bokutachi.hatenadiary.jp うつつなく聞きゐし遠きひぐらしの声は窓べのこほろぎとなる この人は1925年生まれで、1955年に結核で亡くなられているそうです。30歳という若さ…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 生沼義朗 bokutachi.hatenadiary.jp ほとばしる水のちからに耐えかねてシャワーのノズルはのたうちまわる 〈中ピ連〉をネット検索せしときに「中年ピアノ愛好者連盟」が出る こう…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 富小路禎子 bokutachi.hatenadiary.jp 生るべき稚魚のいくつをかなしめば眼ふとつむりイクラを噛みき この人は、もともと俵万智の『あなたと読む恋の歌百首』で紹介されていた 処…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 真木勉 bokutachi.hatenadiary.jp 「アナタには合はせる顔がないない」と言ひつつ顔はなくなつてゆく 「ホラー短歌」だそうです。面白いな! 塩焼きの鮎を上手に食ふやうに或る夜…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 柴善之助 bokutachi.hatenadiary.jp 吾ながら気むずかしき顔を街にさらし天麩羅を揚げたる三十三年 この人は1915年生まれで、歌集を出したのも80代らしいです。本業は天ぷら屋さん…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 浜田到 bokutachi.hatenadiary.jp とほき日にわが喪ひし一滴が少年の眼にて世界の如し 圧倒的とも言える耽美的な世界観、と解説にはあります。「とほき日にわが喪ひし一滴」って何…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 西田美千子 bokutachi.hatenadiary.jp 口笛を吹けぬわたしの生存をいかに風らに伝えるべきか この歌すごく好きで、好きすぎてなんか既視感のようなものすら感じたのですが、ググっ…
山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 吉田正俊 bokutachi.hatenadiary.jp 潮騒は夜の空気に近くひびく話を止めてのろき汽車の中 春草にもゆる空地をよこぎりて柱時計鳴る家に帰れり この人の歌、こういう故郷を詠った…