山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。
しおみまき
わたくしはきままれーどなひのひかりからめてねむるバナナデニッシュ
気まま+マーマレードなのかな。ひらがな表記がかわいくて、でもぱっと見なんて書いているのか分からなくて何度か読みました。明るい昼間とかにリビングでうつらうつらしてるようなイメージです。ソファに丸まって。外はちょっと寒い日がいいな。
ねえぎゅっとしぼってれもん。いつかみたエゴン・シーレの痛みのように
この歌よく分からないのですがすごく気になって、「エゴン・シーレ」調べてみたらすごい人生だなー。てかウィーンでクリムトの絵を見たのですが、その時にもしかしたらこの人の「死と乙女」も見ていたかもしれん。。教養がないやつはこれだから残念です。
色々調べてたら絵画の考察サイトに出会ったのですが、エゴン・シーレは梅毒で両親や兄弟を失っていて「性」を憎んでいたにも関わらずそれにとらわれていた、「性」の対象であった恋人と別れた時、彼女にきっぱりと拒絶されたことで初めて彼女を精神的に愛したのではないか、と書かれていてすごく、なんというか、すごくひどいなって思ったんだけど同時にその破天荒さというかどうしようもなさがたまらなかったです(笑)。それは長く続く愛ではなくて、多分あらかじめ失われていた愛だったのかも。
しかし現代だったら生きられないような人ですよね。こういうの見てると、善悪ってなんなのかなぁって考えます。
ふりそそぐあさのひかりはかぎりなくりっぽうたいのアロエのエロス
この「アロエ」は立方体なんだから、ヨーグルトとかに入ってるあれかなぁ。朝の光の中でアロエ入りヨーグルト食べてて、なんかやらしいなー、みたいな感じなんでしょうか。もしかしたら休みの日のベッドの中なのかもしれないし、もしくはうんと禁欲的に出勤の朝なのかも。今そういう場合じゃないなーって思いながらふと脳裏をよぎるエロスみたいな。私はわりとストイック萌えなので出勤派だな(笑)。一瞬かすめて消えていく日常のエロスが好きです。
解説に
初めてしおみを知ったのは毎日新聞の歌壇である。ひらがなを多用したやわらかな字面と、呪文のような韻律感覚が非常に印象的であり、新聞歌壇に注目をし始めたときに真っ先に目についた投稿者であった。
とありました。新聞歌壇って、なんとなく時事詠の印象があったので驚きました。こんな感じの歌も載ってるんですね。
こうながれそゐねそゐねと香ながれそぼのいえいとわたしはにてる
蛇口から水のにおいがするまではうまれてたことわすれてました。
とか、すごく気になる歌が多いです。同じフレーズを部分的に変えて何首も繰り返す連作、も紹介されており、面白いなーと思いながら楽しくページを読みました。しかし、歌集とかで大量にまとめて読むと疲れそうでもあります。。ひらがなが多いので集中力が必要で…。
くちびるのおくにしすとを飼うきみのまったんでならさわってほしい (yuifall)