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「一首鑑賞」-123

「一首鑑賞」の注意書きです。

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123.きみいなくなればあめでもひかるまちにさかなのようにくらすのだろう

 (大森静佳)

 

 砂子屋書房「一首鑑賞」で井上法子が取り上げていました。

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 鑑賞文では、全ての言葉がひらがなで書かれている点に注目しています。もし適度に漢字を交えるとすれば、

 

君いなくなれば雨でも光る街に魚のように暮らすのだろう

 

になるのかな(「街」は「町」かもしれない)。「雨」「飴」とかそういう掛詞とは思えないので、漢字でもひらがなでも意味は単一になるように思えます。となるとやはりひらがなに開いた意図は、純粋にニュアンス的な部分なのかなと感じました。

 鑑賞文にあるように、幼い子供に語り掛けるようなやわらかいイメージです。通常、日本語の文章を読む時、全部ひらがなだとぱっと意味が取りづらくて分かりにくく感じるのですが、この歌に関してはそれほど違和感がありませんでした。

 

 あめでもひかるまち。暗い雨雲ではなく、足元の雨粒のきらめきを見ているような印象を受けます。その水を受けて、さかなのようにくらすのかもしれない。

 この歌をこれ以上分解して組み立て直すことはしなくてもいいかな、と思いました。このまま意味を受け止めておけばそれでいいのかなって。なんか、ハリー・スタイルズの Adore You って曲のMVを連想しました。

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いみなんかいいわかたちをあじわってほろびた漢字がささやきかける (yuifall)

 

 

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