一首鑑賞
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 290.あけつぱなしの手は寂しくてならぬ。青空よ、沁み込め (前田夕暮) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで井上法子が紹介していました。 sunagoya.com 現代短歌を主に読んでいると戦前の優れた歌人の…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 289.ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし (岡本真帆) 前回出てきたので考えてみました。 この歌はもともと当時のTwitterで流行っていたのを人から聞いて知っていて、…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 287.喉の痛みをうつしてしまい遅い朝あなたのための鮭粥を炊く (千種創一) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで山下翔が紹介していました。 sunagoya.com ああ、千種創一かぁ…。こういうテイストたま…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 286.牛乳が逆からあいていて笑う ふつうの女のコをふつうに好きだ (宇都宮敦) 前回の続きです。 この歌は、瀬戸夏子『はつなつみずうみ分光器』の「宇都宮敦」の章でこのように評されています。 そ…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 285.千年後緑の星で再会の話の腰を折って口づけ (雪舟えま) 前回の続きです。 ところで私は短歌カルチャーに触れてきた時間がかなり飛び飛びなので雪舟えまを『短歌タイムカプセル』『桜前線開架宣…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 284.ハロー 夜。 ハロー 静かな霜柱。 ハロー カップヌードルの海老たち (穂村弘) 前回の続きです。 これは穂村弘の『手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)』収録作です。今まで引用した批評文で…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 283.いやそうさ時間は無垢さオルゴールの小さな筒をまわす魔術師 (加藤治郎) 前回の続きです。 『ねむらない樹』のニューウェーブの特集、『現代短歌のニューウェーブとは何か?』で、かつてのニュ…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 282.水滴のひとつひとつが月の檻レインコートの肩を抱けば (穂村弘) 前回の続きです。さらに関川夏央『現代短歌 そのこころみ』(集英社文庫)から引用します。 この本では、一章(「無頼」と「遊戯…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 281.「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの (俵万智) これは言わずと知れた『サラダ記念日』収録歌ですが、前回の関川夏央『現代短歌 そのこころみ』(集英社文庫)…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 280.殺むるときもかくなすらむかテロリスト蒼きパラソルくるくる回すよ (藤原伊織) これは小説『テロリストのパラソル』で登場する短歌です。テロで亡くなった女性がNYの日本人会の短歌誌に投稿して…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 279.からだの中の柊を見てゐるやうな君のまなざし 逢ひたいと言ふ (澤村斉美) この歌を知ったのはもともと山田航の『桜前線開架宣言』で、その頃から好きだったのですが、うまく解釈できませんでし…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 278.今日こそは言わねばならぬ一行のような電車が駅を出てゆく (奥田亡羊) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで大松達知が紹介していました。 sunagoya.com とてもいいなあと感じる一方で、解釈が難し…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 277.からだのないわたしはだれに見えるのか酢のような匂いをひとはうたがう (渡辺松男) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで大松達知が紹介していました。 sunagoya.com 面白いなー、と思って作者を見…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 276.ぺらぺらと業界用語で喋りだすぼくなんだけど誰だこいつは (荻原裕幸) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで大松達知が紹介していました。 sunagoya.com この歌が入っている『永遠青天症』という歌…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 275.ふとぶとと水を束ねて曳き落とす秋の滝、その青い握力 (大森静佳) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで山下翔が紹介していました。 sunagoya.com ただでさえ短い短歌ですが、その中でもごく短い部…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 274.君が火を打てばいちめん火の海となるのであらう枯野だ俺は (真中朋久) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで江戸雪が紹介していました。 sunagoya.com おお。かっこいい。君が火を放ったならば一面…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 273.重ねればやわらかい指ぼくたちは時代錯誤の愛を着ている (東直子) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで江戸雪が紹介していました。 sunagoya.com 最後の「着ている」に(いい意味で)引っかかる歌…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 272.見ないまま抱きあふとき骨格のふかさの中でわが咽喉ほそき (河野美砂子) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで江戸雪が紹介していました。 sunagoya.com 抱き合って深く交わるときに呼吸が苦しくな…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 271.ゆうぐれの電車静かにポイントを渡る今からおまえが好きだ (中澤系) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで江戸雪が紹介していました。 sunagoya.com これはたまりませんね。くらくらするほどかっこ…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 270.表面に〈さとなか歯科〉と刻まれて水星軌道を漂うやかん (笹井宏之) この歌を初めて知ったのは歌集『えーえんとくちから』を読んだときです。やかんが水星軌道を漂うさまを幻視したのを覚えてい…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 269.「好きだつた」と聞きし小説を夜半に読むひとつまなざしをわが内に置き (横山未来子) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで江戸雪が紹介していました。 sunagoya.com 横山未来子の歌はいつも甘酸っ…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 268.もうずっとそこにあるような雰囲気で子の顔の真中に置かれしめがね (森尻理恵) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで江戸雪が紹介していました。 sunagoya.com 人の顔と名前を覚えるのがものすごく…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 267.足もとに寄り来る鳩はにんげんがにんげんを殺すことを知らざり (外塚喬) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで魚村晋太郎が紹介していました。 sunagoya.com 鳩は鳩を殺さないんだろうか。 昔、子…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 266.垂直の街に来る朝われらみな誰かうまれむまへの日を生く (都築直子) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで魚村晋太郎が紹介していました。 sunagoya.com 垂直の街。最初は何だかよく分からないまま…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 265.梨に刃を差し込みながらたしかめるどこまで君をわかっているか (江戸雪) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで魚村晋太郎が紹介していました。 sunagoya.com 前回が林檎で、今度は梨です。 梨、は…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 264.毒のない方を選んでくださいとりんごの赤と黄が並べらる (大口玲子) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで魚村晋太郎が紹介していました。 sunagoya.com 絶対両方毒入りでしょ、って思わせる歌です…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 263.恋人をそれぞれの胸が秘めている不思議さ行き交う人のシャツ見る (安藤美保) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで魚村晋太郎が紹介していました。 sunagoya.com 作者の名前見て、安藤美保だったの…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 262.お母さん、息をしてよとぴたぴたと頰を打てども息は消えたり (吉川宏志) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで山下翔が紹介していました。 sunagoya.com 『短歌と俳句の五十番勝負』を以前紹介しま…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 261.もう充分にあなたのことを思つたから今日のわたしは曼珠沙華 (宮英子) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで大松達知が紹介していました。 sunagoya.com これは歌に惹かれてリンク先の記事を読んだ…
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 260.口紅と座薬とジャムと練りからし冷ゆる冷蔵庫夏過ぎてより (浜名理香) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで魚村晋太郎が紹介していました。 sunagoya.com 最初の口紅のインパクトがすごいなー。そ…