左右社 出版 山田航編著 「桜前線開架宣言 Born after 1970 現代短歌日本代表」 感想の注意書きです。
大森静佳
この人の短歌読んだとき、狗飼恭子の『冷蔵庫を壊す』っていう本に入ってた中編、『月のこおり』思い出した。恋の相手が年上っぽい感じがするところとか、何となく幸せそうじゃないところとか、若くて繊細なのに大人っぽい感じがするところとか。でも、『月のこおり』読んだのはちょーー昔なので、記憶が美化されているかもしれません(笑)。
この人の短歌はとても素敵です。浸りたい時にもってこいだと思います。
カーテンに遮光の重さ くちづけを終えてくずれた雲を見ている
大学の北と南に住んでいて会っても会っても影絵のようだ
なんて、美しくもちょっと官能的で、切なくなります。
これは君を帰すための灯 靴紐をかがんで結ぶ背中を照らす
は、北原白秋の
君かへす朝の敷道さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ
を連想させるなー。「帰す」っていう表現からかな。ここからの連想で、ちょっと背徳的な、何となく幸せそうじゃない感じがするのかも。だけど、「灯」が灯ってるってことは、夜帰るんだよね。家に泊まってもないってことだよな。一つ一つの歌から、恋のストーリーが溢れてくる感じがします。
この人の歌集の解説か何かで(うろ覚え)、「全ての歌が相聞歌」と書かれていたような気がするのですが、なんだか不思議に思いました。音楽だとアルバム全部が恋の歌ってごく普通だし、小説や漫画でも短編集全部が恋愛小説っていうことは当たり前のようにあるのに、短歌だと全部相聞歌の歌集って実はあまりないんだなーって。
まあとはいえ歌集そのものを読んだわけでもなければ解説もうろ覚えなので自分の妄想かもしれません…。
「僕を見て」、 声は掠れていく 雨が 傾いてゆく道を溶かせば (yuifall)
おちてゆく下弦の月をみうしなう エクスタシーをおしえてほしい (yuifall)
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