いろいろ感想を書いてみるブログ

短歌と洋楽和訳メインのブログで、海外ドラマ感想もあります

短歌と俳句の五十番勝負

「短歌と俳句の五十番勝負」感想19.四十八

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 角落ちて四十八滝鳴りやまず (堀本裕樹) 四十八、でググると真っ先に出てくるのが相撲の「四十八手」です。他にも「四十八滝」「四十八願」などあるそうで、花札も48枚だとか。こ…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想18.背骨

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com ねむれ風 ねむれ太陽 めざめるな プールサイドに列ぶ背骨よ (穂村弘) この短歌いいですね。<今ここ>の眩しさを、永遠に無傷のまま留めたい、という衝動だそうです。それについ…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想17.ぴたぴた

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com あわあわの喉にぴたぴたあてられてすべりつづける刃よねむくなる (穂村弘) 俳句もよかったんですけど、私が「ぴたぴた」でやっぱり足音を連想してしまって、穂村弘は全然違うテー…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想16.水際

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 水際の郵便ポスト 満ち潮になれば口ぎりぎりまで水が (穂村弘) これはまた穂村節ですね。こういうの、つい好きになってしまいます。エッセイには 海辺にも郵便局はあるのだろうか…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想15.黒

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 水泳の後の授業の黒板の光のなかに溶ける文字たち (穂村弘) このお題の出題者は小学生みたいです。穂村弘はそれを分かっていて「黒板」にしたのかな。「挿入」の回で、堀本裕樹が…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想14.ゆとり

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 秋扇のゆとりや時に海指して (堀本裕樹) 「ゆとり」のお題は朝井リョウです。そういえば『何者』積読になってたのを思い出しました。絶対心が傷つく系小説だな、と思って読むタイ…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想13.たしなめる

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com なめくじにトマトケチャップかけてたらたしなめられて恋に墜ちたり (穂村弘) これは俳句をとろうかかなり迷ったのですが短歌を。この題の俳句すごく好きです。 それにしてもエピ…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想12.謀叛

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 炎天の校区飛び出す謀叛かな (堀本裕樹) 「謀叛」は北村薫のお題です。穂村弘の短歌も面白かったのですが、この句が好きだったので。句だけでも意味はよく分かりますが、エピソー…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想11.カルピス

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com カルピスの氷ぴしぴし鳴り夕立 (堀本裕樹) この句好きです。俳句って感じ。暑い外から戻ってきて「喉かわいたあ!」って氷を入れたグラスにカルピスを注ぐとぴしぴし鳴って、そう…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想10.流れ

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 流れよわが涙、と空が樹が言った警官はもういなかったから (穂村弘) 『流れよわが涙、と警官は言った』というのはフィリップ・K・ディックのSF小説で、原題は Flow My Tears, the…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想9.挿入

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com ちくわの穴にチーズ挿入したものを教卓に置き みんなで待った (穂村弘) この歌のエピソードはマジでしょうもないんですが、要は「小学生の時、給食に出てきたチーズを同じく給食…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想8.かわいい

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 山雀のかわいい舌よ春の宵 (堀本裕樹) この句の「かわいい」の身も蓋もなさが好きです。俳句に普段「かわいい」って言葉使うかなあ。すごい日常語だし普段多用するにも関わらず、…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想7.唾

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 文字に唾垂らしてこするなんとなくこれでも消えるような気がして (穂村弘) これは歌そのものは「男子やりそう笑」みたいな感じなんですけど、解説が面白かったです。書き間違えた…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想6.まぶた

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 左目に震える蝶を飼っている飛び立ちそうな夜のまぶたよ (穂村弘) この歌すごい好きです。この本、題詠における発想の面白さや短歌と俳句の違い、あるいは2人の作風の違いを楽し…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想5.風見鶏

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 去年今年流星を見る風見鶏 (堀本裕樹) 「去年今年」と言われるとどうしても 去年今年貫く棒の如きもの (高浜虚子) を連想します。なんかこう、本当は区切りなんてねえんだぞ!…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想4.信じられない

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 街師走信じられない多情の日 (堀本裕樹) 「信じられない」という題は斬新だなあ、と思って出題者を見たら、藤野可織という作家の方でした。七音が決まってしまうので、俳句だとけ…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想3.たまゆら

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 百葉箱の闇に張られし一筋の金なる髪を思うたまゆら (穂村弘) これ、解説が面白かったです。百葉箱には人間の髪が入っている、という噂が子供の頃あって、「百葉箱」という名前と…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想2.動く

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 駄目な詩をひとつ殺した消しゴムの滓がふわふわ動き出す夜 (穂村弘) これ読んで真っ先に思ったのが、鉛筆書きなの?ってことでした。多分、状況は誰でも想像できると思う。詩を書…

「短歌と俳句の五十番勝負」感想 1.椅子

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 新涼ややさしく触れぬ椅子の脚 (堀本裕樹) 最初のお題を出したのが穂村弘だったので、俳句から引用することにしました。この本の煽り文句に「異化した短歌と古風な俳句」とあるよ…

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書き

新潮社「短歌と俳句の五十番勝負」(穂村弘、堀本裕樹) 感想はじめます。 注意書き ・歌人の穂村弘と俳人の堀本裕樹が、与えられたお題に対してそれぞれ短歌と俳句を詠む、という本です。 ・お題を色々な有名人が出していたり、歌や句に本人による解説が書…