「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。
水際の郵便ポスト 満ち潮になれば口ぎりぎりまで水が (穂村弘)
これはまた穂村節ですね。こういうの、つい好きになってしまいます。エッセイには
海辺にも郵便局はあるのだろうか。たぶん、ないんだろうな。
とありますが、あったような??と思って調べてみると、海辺ではなくて海底でした。「海底ポスト」なるものが日本にも数か所にあるみたいです。基本的にはダイビングスーツで潜って行って、耐水はがきを投函するのだとか。
穂村弘の短歌世界ではちょっと違っていて、満潮のときに口ぎりぎりに水がくるように設計されたポストです。だから、手紙は濡れないんですね。でも投函する人はダイビングスーツではなくて、服を脱いで泳いでいく仕組みのようです。
クロールとか平泳ぎとか個人メドレーとか。
とありますが、バタフライなんかやったら波が立ってポストの口から海水入っちゃいそうですね…。「水際」って本当に絶妙ですね。
それにしても、実在の海底ポストはけっこう人気で、1年に1000通くらい投函されるそうです。毎日地元のダイバーさんが回収するんだとか。ほんとうに、人間って面白いなあと思ってわくわくしてしまった。
ところで「水際」という言葉からなぜか「水際だったあの態度」という一文が思い浮かんで頭から離れなくて、どこで見た文章だっただろう…、と考えていたのですが、久美沙織の『小説 ドラゴンクエストV』だったような気がします。「水際だつ」で「ひときわ目立つ。あざやかに際立つ」だそうです。今まで意味知らなかったな…。意味も知らずに読んで覚えてました。
水際はいつしか水になっていて息もできないほどに少子化 (yuifall)