「一首鑑賞」の注意書きです。
58.さようなら。人が通るとピンポンって鳴りだすようなとこはもう嫌
(穂村弘)
砂子屋書房「一首鑑賞」で大松達知が紹介していた歌です。
穂村弘の歌だったのかー。『手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)』の中の一首だそうで、鑑賞文には
この歌集の中では分かりやすい部類に入る歌。
とありちょっと笑いました。そんな分かりにくい歌集なのか。
「人が通るとピンポンって鳴りだすようなとこ」は想像可能ですが、「さようなら。もう嫌」ってことは、ずっとそういうところに住んでいて、出て行くところなのかなって感じしました。でも、多分出て行っても他のどこかで「人が通るとピンポンって鳴りだすようなとこ」に出くわすと思うなー。
この歌読んでて思い出したのは、昔時々行っていたある家のことです。その家はすごく大きい家で、一部事業所を兼ねていたので、玄関で呼び鈴を鳴らさなくても、ドアを開けると必ず「ピンポン」(じゃないけど、まあそれっぽい感じの音)鳴ったんです。普通の家ではないことだから、むしろ面白かったのを覚えてる。でも、夜中に抜け出してその辺を放浪する性癖があったので、夜中に抜け出す時は「ピンポン」鳴らないように死角を探ってました。。そんな厳重なセンサーじゃなかったので…。
今はもうその家はなくなっていて、でも時々思い出すと「ピンポン」鳴りだすところ、すごく懐かしくなります。ほんとうに「さようなら。」してしまったので、この歌はむしろちょっとそういう記憶とか切なさみたいなのが呼び起こされる感じでした。全然作者の意図とは異なると思いますが…。短歌っていろんな読まれ方しちゃいますね。
音姫が『愛の讃歌』であったことふと思い出す津波のあとで (yuifall)
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