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「短歌と俳句の五十番勝負」感想2.動く

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

駄目な詩をひとつ殺した消しゴムの滓がふわふわ動き出す夜 (穂村弘

 

 これ読んで真っ先に思ったのが、鉛筆書きなの?ってことでした。多分、状況は誰でも想像できると思う。詩を書いていて、これは世に出せないなって思って消しゴムで消しちゃう。で、その真っ黒な消し滓が溜まって、なんかその駄目な詩が乗り移ったみたいに動き出すという。

 

 それにしても近頃鉛筆で字を書いた記憶がほぼないのですが(なんかのマークシート塗る時くらいしか鉛筆使わないな)、Crl+A & Del では生まれない歌だなーと思いました。

 本人のエッセイでは、(若い頃に)原稿用紙に向かっていた頃のことだ、というような導入のあと、念のため今やってみた、ということが書かれています。最後の締めが面白かったです。

 

いや、もしかすると、白紙にかけたのがいけなかったのかもしれない。本当に詩をひとつ消さないと、怨念が滓に乗り移らないのかも。

 

 そうだよ穂村さん、白紙にかけた消し滓なんて動くわけないじゃん、ってなんだかすんなりそう思ってしまいました。夜にどうしても「詩」な気持ちで手で鉛筆で紙に書きなぐった何かを、「これはだめだ」って消したやつだけだよ、動くのは。そう考えると、とっさに「ああー!!!」って気持ちになったときにPC起動してwordファイル開いたりとかスマホ起動してメモ帳に指でちまちま書き込んだりするのはちょっと衝動の度合いとしては弱い気がしますね。やはり手近な紙に手近な筆記用具で書きなぐらないと。

 まあ、今の時代、手近に紙や筆記用具ないですけどね。というわけで衝動的にXに書き込んだりしてしまうわけなんですね。消しゴムの滓が動き出すより恐ろしいですね。

 

 

空港の「歩く歩道」と言うそれはおそらく「動く歩道」だろうね (yuifall)