「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。
左目に震える蝶を飼っている飛び立ちそうな夜のまぶたよ (穂村弘)
この歌すごい好きです。この本、題詠における発想の面白さや短歌と俳句の違い、あるいは2人の作風の違いを楽しみながら読んでいたのですが、この歌に関しては題詠として出会わなくても好きだっただろうなと思います。まぶたの痙攣って誰でも経験することだと思うんですが、「蝶」という喩えも、「飛び立ちそうな夜」という言葉遣いも、抜群にセンスがいいなーと感心しました。こういうの、穂村節って感じですよね。
ちなみにこの回は俳句もすごく良くて迷ったのですが、自分が短歌の人なので短歌の方を載せました。俳句はぜひ読んで確かめてみてください。堀本裕樹は解説に
人生はただ一問の質問にすぎぬと書けば二月のかもめ (寺山修司)
を引用しています。俳人ってけっこう短歌読むのかなあ?人によるんでしょうが、有名歌はたしなみとしておさえていたりするんだろうか。
それにしても寺山修司の短歌を出されると、この歌また誰かの名言からの引用ではないか?と身構えてしまう自分がいるのですが、「人生はただ一問の質問にすぎぬ」の真の出所は本当に寺山修司でいいのだろうか??ただ一問の質問ってなんでしょうね。結局は
To be, or not to be, that is the question.
ってことなのかな。つまりはシェイクスピアのオマージュでしょうか。
今回、短歌も俳句も名作だな、題がいいのかな、と思って出題者を見たら、19歳の女子大学生の方でした。一般人でしたか。いや、もしかしたら一般人ではないのかもしれませんが、少なくとも肩書には「大学生」以上のことは書いていませんでした。センスがいいですね。
武装したまぶたのラメを褒められて少し怯えるシャンプー台で (yuifall)