左右社 出版 山田航編著 「桜前線開架宣言 Born after 1970 現代短歌日本代表」 感想の注意書きです。
「短歌タイムカプセル」と「桜前線開架宣言」では重複する歌人も多いのですが、後に発行されている「短歌タイムカプセル」の方に、このアンソロジーと歌の被りを避けた、と書いてあり、確かに重なっていないものが多いです。そして、同じ歌人なのに歌の選び方によってこんなに印象が変わるんだな、と驚いたうちの一人がこの人です(あとは黒瀬珂瀾、光森裕樹、石川美南、花山周子、山崎聡子、服部真里子、木下龍也、吉田隼人が全然印象違った。本当にびっくりした)。なので、多分歌集を読まないと、アンソロジーだけじゃ歌人のことって全然分からないんだろうなと思いました。だけどまあ、冒頭にも書いた通り、あくまでここに載っている歌の感想ということで。
「短歌タイムカプセル」の時は少年っぽいなーと思ったのですが、このアンソロジー見ると、劇画っぽいです。手塚治虫、さいとうたかを、赤塚不二夫、藤子不二雄、水木しげる、楳図かずおなどの描く世界観みたいな。昭和のアングラ感です。メンコの柄みたいな(笑)。小説でいうと筒井康隆だな。「家族八景」だな。そして漫画とリアルが入り混じってねじくれた感じが面白いです。
胴上げをされた男が目撃するアパート二階の殺人事件
とか、
落ちてくる黒板消しを宙に止め3年C組念力先生
とかは漫画っぽいんだけど、
信長の愛用の茶器壊したるほどのピンチと言えばわかるか
はねー、リアルっぽい(笑)。この絶妙な比喩。しんくわともまた違う方向のシュールな笑いが全体を貫いています。
この人の「念力家族」って歌集、めちゃくちゃ人気あるみたいですね。知らなかった…。Eテレで連続ドラマにもなってるらしい(しかもシーズン2まで…)。「カラダ記念日」(筒井康隆)が映画化されてるのを知った以来の衝撃だわ…。確かにすごい面白いもんな…。コアなファンがめっちゃいそうです。
ちょっとこれ系作品作るのは無理なのですが(笑)、せめて「念力家族」リスペクト短歌作ってみた。お題;念力家族がトランプで遊んだら!的な。
神経衰弱こんなにつまらぬものはない最初のやつが全部取って終了 (yuifall)