書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。
花水木の道があれより長くても短くても愛を告げられなかった
この人の歌は男性らしい優しさを感じられて好きです。てかこの歌に限らず、この人の短歌すごい好きです。『現代短歌最前線』っていうアンソロジー本初めて読んだ時から好きでした。
この愛を告げるっていうのは告白なのかな。それともプロポーズ?もしくは、恋人とか奥さんに改めて何かを伝えたいって思った瞬間なのでしょうか。普通に考えたら愛の告白(初回)なんだろうけど、私は、すでに十分親しい人に向かって、突然愛を告げたいあるいは告げなければと思う時の少しの躊躇いとか恥じらいを感じさせるような瞬間が好きなので、相手が奥さんだといいなって勝手に思ってます。ちなみに奥様も歌人で、同じアンソロジー(『現代短歌最前線』)に載ってたので併せて読んで勝手に萌えてた♡
あと昔から大好きなのは
風を浴びきりきり舞いの曼殊沙華 抱きたさはときに逢いたさを越ゆ
っていうので、これも女性には理解しにくい感覚だなぁと。こういう歌を見ると、男性って愛おしいなと感じます。これも私の勝手な想像ですが、抱きたい相手は誰でもいいわけじゃなく、恋人(or妻)なんじゃないかなって。彼女を思いながら、逢いたいなって思うんじゃなく、抱きたいなって思うんだよね。そこには性欲を超えた何かというか、つまらない言葉だけど愛みたいなものを切実に感じてどきっとします。
社会詠と思われる歌も散見されるのですが、その中に
八月六日ののちの二日間それに似た時間を我ら生き続けおり
とあって、これを読んだ時、東日本大震災のことを思い出しました。多分前も書いたと思うのですが、あの時、戦後ってこんな感じだったんだろうかって思いながら停電した街を歩いてた。「八月六日ののちの二日間」って、そのことじゃないのかなぁ。この歌が収録された歌集は2012年のもので、直前には「原発」についての歌もあるので、震災の歌なんじゃないのかなって勝手に思ってます。
はりついた前髪そっと分けてみる 喉が引き攣る溺水の間に (yuifall)
蜂蜜を溶いた瞳がするどさを不意に増すとき そこにうつして (yuifall)
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