北溟社 「現代短歌最前線 上・下」 感想の注意書きです。
吉川宏志③
抱いていた子どもを置けば足が生え落葉の道を駆けてゆくなり
今度は子供シリーズですが、この歌めっちゃかわいいな!小島ゆかりの「子供とは球体ならん」を思い出したわ。なんか丸っこいものを抱っこしてて、地面にそっと置いたらにょきって足が生えて走っていくの。かわいい!すごい好き!
子のなかに眠りの液が溜まりおり抱いて和室の隅に運びつ
これも面白い!「眠りの液」が溜まってるのね。意識ない人って子供といえども重たいよなー。なんかぐにゃってした液体の入った袋を抱きかかえるみたいな…。その辺で寝ちゃったから運んでいくんだね。子供のハイパーでエネルギー切れになるまで遊び倒す感じが伝わってきます。
「母さんのふとんも敷け」とおさなごは声しぐれたり妻の居ぬ夜に
この人の子供の歌好きです。これもかわいい。奥さんがいない夜も子供に「母さんのふとんも敷け」って言われてるのか…。じゃあ敷こうってなるよね…。「ここは母さんのふとんね」って…。かわええな。子供がすごい愛おしく感じる歌です。「声しぐれたり」も好き。
そしてこういう歌の間に
夢に棲む女が夢で生みし子を見せに来たりぬ歯がはえたと言いて
みたいなのが挟まっててたまりません。
油性ペンもて描かれし顔たちがティッシュケースに微笑む夜更け (yuifall)
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