書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。
好きだった世界をみんな連れてゆくあなたのカヌー燃えるみずうみ
この人の歌を初めて読んだ時ものすごくびっくりしました。全然意味が分からない!っていう衝撃で。意味が分からないのに好きになってびっくりした。穂村弘も意味分からない系な気がしますが、穂村弘はわざと意味のないことを言ってるような感じを受けたのですけど、この人の歌はなんというか、この人ってマジでこう思ってるんだろうな、って感じがしてちょっと怖いくらいです。どういう思考回路なんだろうという衝撃でした。こういうワールドがある人って強いよなー、なんか。テクニックを超えてくるというか。
(このアンソロジーにはのってない歌ですが)
え、という癖は今でも直らない どんな雪でもあなたはこわい
とかさ。わかんないのにすごい好きなの。
廃村を告げる活字に桃の皮ふれればにじみゆくばかり 来て
その中でもこの歌は割と分かりやすい系統で、すごく好きです。多分新聞紙の上で桃の皮を剥いていて、落ちた皮が新聞の「廃村」の活字に触れて字が滲んで、切なくなって恋人に「来て」っていう、シーンなのかな、と思いました。この後どうなったんだろう。あんまり情熱的な感じはしないので、少し抱きしめあったあと、「どうしたの」「なんでもない」ってなって、普通に2人で桃を食べてそうな気がします。
これもこのアンソロジーには載ってないのですが、
ははそはの母の話にまじる蝉 帽子のゴムをかむのはおよし
も好きな歌です。帽子のゴムの味が口の中に蘇ってくるようだよ。
20年経ったらきっとゆるしてね-110℉ (yuifall)
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