北溟社 「現代短歌最前線 上・下」 感想の注意書きです。
東直子④
ばくぜんとおまえが好きだ僕がまだ針葉樹林だったころから
最後はちょっと分かりやすい系統を集めてみました。これなんか、水原紫苑の
われらかつて魚なりし頃かたらひし藻の蔭に似るゆふぐれ来たる
ともちょっと共通してて、太古の昔から好きだ、っていう、一万年と二千年前から愛してる、みたいな感じね(笑)。あなたと合体したい…。
放たれてあなたの還るみずうみはどこまで明るくつめたいのだろう
この歌は、おそらく「あなた」は人間ではなくて、みずうみの魚か何かな気がします。キャッチ&リリース的な。ですが、最初に読んだ時、「あなた」は死んでしまった人で、「還るみずうみ」は輪廻とかなにかそういうもののメタファーなんだろうってごく自然に思ったんですよね。で、なんで初見でいきなりそんな風に思ったんだろうって考えてたんですけど、あるとき唐突に思い当たりました。FF7だわ。エアリスだ…。忘らるる都だよ…。あなたの還るみずうみは明るくつめたいんだよ…。
ゆっくりと腕をのばしてごらんなさい愛し直してあげるよすぐに
愛し直してくれてありがとう。この人の作品の雰囲気って長野まゆみ的というか、ちょっとSFがかった少女漫画(萩尾望都とか、日渡早紀みたいな)っぽい感じがしますね。ワールド系ですね。自分ワールドが現実と微妙に重なり合ってずれた場所にはっきりある感じです。
ぼくがもしひとの抜け殻だったとしてあなたはそれに気づくのかしら (yuifall)
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