書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。
男ではなくて大人の返事する君にチョコレート革命起こす
この人は、短歌の入り口的存在でしたよね。『サラダ記念日』の頃。それまで百人一首くらいしか知らなかったのに、口語短歌ってあるんだ!みたいな。やっぱりその頃たくさん歌集読んだけど、『チョコレート革命』の頃はあからさまに不倫匂わせっぽくてちょっとやだったなーっていうのを思い出してしまった(笑)。
当時はそれほどライトヴァースにははまらなかったものの、『サラダ記念日』のかなりの分量を本歌取りしている、筒井康隆の『カラダ記念日』という作品があって、これにはめちゃくちゃはまってました。本歌取りの面白さに目覚めたのこれが原因かもしれん。
「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの
がさー、
「組長を殺(や)るぞ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの
になっちゃうんだよ(笑)。しかも1首だけじゃなくて確か200以上パロディしてた。マジですごいと思いました。おすすめです。筒井康隆『薬菜飯店』収録です(笑)。
短歌の評論みたいな本を読んだりしてて、現代短歌の流れ?みたいなことが語られている時、歌人の中で、ライトヴァースの中でも穂村弘=ニューウェーブがメインストリートで俵万智を好きだと通じゃない、みたいな空気感を感じるのですが、
デジタルの時計を0,0,0にして違う恋がしたい でも君と
呼吸をするようにあなたがかく汗を過ぎた季節のにおいと思う
みたいな歌、昔からすごく好きだったな。というかライトな口語でヒットして何が悪いのか?とも思います。「ほんもの」とかそういう言葉好きじゃないし。ていうか、こういう歌が「ほんもの」じゃないなんて思わないし。
ところで
チューリップの花咲くような明るさであなた私を拉致せよ二月
は、河野裕子の
たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか
の本歌取りなのかなぁ?
不意に来る嵐のように奪ってよ、下垂体までずぶ濡れにして (yuifall)
ギモーヴとよぶその声がすこしだけこわい いつまで恋してくれる? (yuifall)