書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。
千種創一
あっ、ビデオになってた、って君の声の短い動画だ、海の
海の、あるいは海で、写真を撮ろうとしたら動画になってた、っていうだけなんだろうけど、何か切ない感じがする。これが自分のカメラ？スマホ？にあるってことは、彼女に写真を撮ってもらってるシーンだったのかな。それともすでに奥さんで、家族のカメラなんだろうか。だけど動画には海しか入ってないんだよね。彼女のスマホなのかな。一緒に写真を見返しているシーンなのでしょうか。自分のだとしたら、どうして彼女に自分じゃなくて海の写真を撮ってもらったんだろう。何だか考えると不思議な感じがします。
とか書いててふと思ったけど、「海の」って書いてるだけで海しか映ってないとは書いてないな。でも彼女と一緒にいて、自分だけの写真を自分のスマホで撮ってもらうっていうのもなんだかよく分からないし、やっぱり彼女が撮った彼女のカメラの写真を一緒に見返していて、「あっ、ビデオになってた」って声が入ってるのかな。
うーん、だけどイメージ的には、この動画を見てるのは自分だけって気がする。彼女はここにはいない気がするんだよな。もう会えない人みたいな。そして相手はこの動画が残ってること自体覚えてないみたいな。で僕が写真を見返していて、動画のサムネイルには海しか映ってないから無防備な状態で開いたらいきなり彼女の声が聞こえてきてどきっとして胸がぎゅっとするみたいな、そんな光景を連想しました。やっぱりその場合はスマホじゃなくてカメラだな。彼女が僕のカメラで写真撮ってて、僕は彼女と別れてしばらく経ってる気がします。
短歌一首でめちゃくちゃ妄想した。短編小説1本くらい書けそうな気がする(笑)。
この人は88年生まれでこのアンソロジーに載ってる歌は20代の時のものだと思うのですが、全体的になんていうかセピアな感じというか、岡村靖幸的な男の子っぽさというか…。いや、尾崎豊的な感じかな。ちょっと不良の男の子に心惹かれる的なさ。ちょっと不良っぽい文学青年（イケメン）が惹起される雰囲気の歌であり、ややレトロな青春感が漂ってます。
下がってく水位があって、だめだな、あなたと朝を迎えるたびに
とか
口移しで夏を伝えた いっぱいな灰皿、開きっぱなしの和英
とか、セクシーすぎでしょ…。何か笠井潔『バイバイ・エンジェル』の矢吹駆を連想してしまったよ。あとは小池真理子の『無伴奏』かな…。完全なるイメージですけど、60年代後半～70年代前半の感じですね。（読み返してみたんですが、すごい切ないですねこの話…。「じゃあ、教えてよ。あなたはいったい、誰を愛してるの。答えて」って…。胸が張り裂けそうになりました…。）
昭和インテリ不良って萌えるな…。こういう歌見ると、男の子（この場合は「男性」ではなく）には敵わないなって気がします…。抵抗できない萌えですよ。うっかり歌集買っちゃいましたもん…。もう、見つけた瞬間ふらふらと。アイドル並みの吸引力です(笑)。逆に男性が、女の子（「女性」ではなく）には敵わないって思うのってどういう歌なのかなと思いました。どうしても萌える！的なさ(笑)。雪舟えまとか今橋愛とか横山未来子とか私的には女の子！萌え！って感じなのですが、男性と女性ってKAWAIIの感じ方違うって言うしなー。
個人的には短歌に恋しちゃったランキング女子部門一位は大森静佳ですね♡男子は、千種創一、千葉聡、吉川宏志かな…。恋とかそういう次元を超えてるのが笹井宏之。
そしていつもは自作短歌は1～2首しか載せないのですが、何の中身もひねりもない萌え短歌作ってしまったのでおまけの3首目載せときます(笑)。gleeのブレイン好き♡
さむくない、ってあなたは聞くね、夢だからさむいよ、でもただ首を振ってる (yuifall)
First, look at the operating manual and then you can touch me gently. Baby, that’s the way to break my heart. (yuifall)
(マニュアルを読んで優しく触れてみて、それが心の壊し方だよ)
囁いて、Darren Crissの歌声で「おいでよhoney、ぼくがほしいの?」 (yuifall)
*Do Ya Think I’m Sexy? (Rod Stewart/ Glee Cast Version)
