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桜前線開架宣言-永井祐 感想

左右社 出版 山田航編著 「桜前線開架宣言 Born after 1970 現代短歌日本代表」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

永井祐

 

 『短歌タイムカプセル』の時、この人の歌結構好きだったので、この本の解説文読んで

 

短歌の読者になった頃に、いちばん何かとディスられていた歌人が永井祐だった。

 

と書いてあってびっくりした(誤解ないように書き添えますが、編者がディスっていたわけではありません。短歌界で、ってことです)。多分、時代的なものなのかも。1999年に短歌会に入会、とプロフィールにあるので、ちょっとね、先進的すぎたのかもしれませんね。当時にしたら。今2021年に読むと全然違和感ないもんな。

 

あの青い電車にもしもぶつかればはね飛ばされたりするんだろうな

 

とか、まあそりゃあそうなんですけど、そもそも「ただごと歌」ってジャンルがもともとあったのでは…と思うのですが、その分類ではないのか?

 

パチンコ屋の上にある月 とおくとおく とおくとおくとおくとおく海鳴り

 

なんか、「ただごと」を脱してますよね。切なくすら感じられるよ。

 

山手線とめる春雷 30歳になれなかった者たちへスマイル

 

なんて、山手線を止めたのは春雷ではないのではないかとすら思えるよ…。この人がディスられていたなんて信じられない…。

 

 やっぱり、俵万智とか穂村弘の短歌でググると「口語短歌なんて許せない!」って当時の論評がひっかかるように、今となってはそんなことで?みたいなひっかかりってあるんだろうな。。時代の先を行く人は大変です。

 ただ、穂村弘自身が、口語短歌への批判は60年代生まれのバブル的精神への批判だった、といったような主旨のことを書いていて、永井祐への批判もロスジェネ的精神への批判だったのかもしれないな、とは思うのですが。

 でもさー、身も蓋もない短歌とかやる気ない?短歌とかって別にその時に始まったわけじゃないんじゃないかって思うんだけどどうなんだろうか。今読むからそう感じるのかな。当時は「電車にぶつかったらはね飛ばされるんだろうな」なんて歌ははあ?って感じだったのかしら。じゃあ奥村晃作の「運転する人皆前を向く」とかはどうなんだろうか?

 穂村弘ニューウェーブ後、ここで風向きがまた変わったというか、永井祐がポストニューウェーブの最先端だったのかもしれませんね。

 

 

俯くと眼鏡がくもる少しして顔を上げてもまだくもってる (yuifall)

精神がない垂れ流すフェイクだと見抜いていいよ、責めたいのなら (yuifall)

 

 

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