書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。
田丸まひる
君がくれる挫折はいつも六月の運動場の砂の味がする
何だか分かるような気がします。子供の頃の、頭から転ぶことができた時代の挫折かもしれない。顔から転んで額をすりむいて口に砂が入っちゃうみたいな。今はもうそんな転び方できないし、そんな走り方もできない。だけど君はそんな挫折を「いつも」くれるってことは、多分相手に対して常に全力なんだろうな。
幸せに浮かれてばかりじゃ痛い目を見るっていうなら今すぐ見せて
これはかわいいなって思いましたけど、でも、今度はちょっと全力じゃない感じだよね。痛い目が来るのに備えたいんだよね、今。でもそうじゃない、覚悟してないときに不意に来るから本当に痛いんだよって思います。
まあ、でもプロフィール欄をみるとこの人は精神科医のようだし、そんなことは十分すぎるほど知っているのでしょう。
けれどまた笑ってほしい今朝虹が出ていたことを告げる回診
という歌もあります。回診なんだから相手は入院患者さんなのかな。どんな人なんだろう。「笑ってほしい」ってことはあんまり笑わない人なのかも。感情鈍麻の方なんでしょうか。
胎内に戻って違う精子からやり直したら選んでくれる? (yuifall)
7時間遅れてきみに夜が来る夢のしっぽを渡してあげる (yuifall)