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短歌タイムカプセル-辰巳泰子 感想

書肆侃侃房 出版 東直子佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

辰巳泰子

 

乳ふさをろくでなしにもふふませて桜終はらす雨を見てゐる

 

 前回の(自分の)短歌ブームの時に『現代短歌最前線』というアンソロジー本をよく読んでいて、その中でこの人の歌がかなり好きでした。でも、当時はこういう歌はあまりよさが分からなかった。その頃は

 

わたしのことどのくらい好き海より好き 問ふ日々もあり幼かりしか

 

みたいな歌がすっごく好きで、この人は「女流無頼」みたいに言われてるみたいなのですが、無頼っぽい感じの歌はあんまりピンと来なかったんです。

 だけど、今こういう歌読むと、ああー、この人はすごいなって思います。心底思います。女性としての強さが漲ってるよ。本当に、女性であることを肯定して、女性として強く生きている感じ。私はこうはなれないですもん。

 マジで勝手な想像ですが、下町とかで生きてる昔は綺麗だったけど今はたくましくなった女の人で、旦那はろくでなしで、子供がたくさんいて、「しょうがないわね」とか言いながら明るく生きてて、子供たちが「かあちゃん」って慕ってる感じ。で、こっちは新興住宅地タワマン住まいのホワイトカラーワーカーでパワーカップルで子供には習い事とかさせまくってていつもピリピリしてる感じなの。そして彼女の方がハッピーだって分かってるんだけどそうはなれないとも思ってるんだな。言っておきますが全て妄想であって事実とは異なります(笑)。

 

お月さんへ梯子をかけて下りられぬ我つよく生きて女というは

 

 これとかも、もう、敵わないなって感じします。なんというか、人間としての胆力が違いすぎる。

 

男らは皆戦争に死ねよとて陣痛のきはみわれは憎みゐき

 

とかさ…。言葉のパワーがすごいです。この人の歌は全体的に女性としての力強さに溢れていて本当に圧倒されます。

 

 

処女のまゝ生した我が子よ聖母などなれぬわたしを捨て置いてゆけ (yuifall)

 

 

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