北溟社 「現代短歌最前線 上・下」 感想の注意書きです。
わたしのことどのくらい好き海より好き 問ふ日々もあり幼かりしか
ついに下巻に来てしまいました。この本愛読してた頃、一二を争うくらい好きだったのがこの歌です。「わたしのことどのくらい好き海より好き」って…。この歌覚えやすいしかわいいな。「幼かりしか」って文語体にもときめいたし。今では大人になってしまい、「わたしのことどのくらい好き」なんて聞けなくなってしまったんだろうか。
当時は私もまだ若かったので、この人の代表歌、
乳ふさをろくでなしにもふふませて桜終はらす雨を見てゐる
みたいな歌よりもこういうマイルドな感じの歌が好きだったし、「ろくでなし」みたいな歌はすごいなとは思ってもすんなり受け入れるのが難しかったのですが、今読むと迫力に打ちのめされますね…。
性愛は打ち消しがたく花束の水替へにゆく暗き浴室
橋桁にもんどりうてるこの水はくるしむみづと決めて見てゐる
こういう歌も、なんていうかこの人の歌ってすごい生々しいんですよね。ナマに女なの。それをド直球でぶつけられて、もうひれ伏すしかないって感じです。
無一物 お前を捨ててしまへたら背骨に巣食う執着がある (yuifall)
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