書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。
こういうひとも長渕剛を聴くのかと勉強になるすごい音漏れ
アンソロジーの20首のうち、前半の10首と後半の10首のトーンが全然違っていて…。後半は全部震災のものなんです。前半はどっちかというとシュールというか前衛的路線で、面白くて、「シースルーエレベーターで土下座」とか有名な歌ですよね(笑)。
この歌も、「こういうひと」ってどういうひとなんだろう?って考えながら読みました。清楚な感じの女の子かなーって想像したのですが、逆にちょっとチャラい感じの今風の子とかだったりするのかな。音漏れにイラつくとか怒るんじゃなくて勉強になる、ってとこもいいなと思いました。こういうポジティブに甘い感じ好きなんだよな…。多分自分だったらイラついちゃうから、「あーあいつの音漏れウザい」って言って、もし「いやー、あんなひとも長渕剛聴くんだねぇ」って返されたら多分めちゃくちゃ恥ずかしくなりそうですけどこんな人にすごく憧れます(長渕剛分からんけど)。こういう生き方っていいなあ、こうやって生きていけばいいんだなぁって思う。
そういえば以前チャラ男の人と一緒に仕事してたんですが、「いやー、俺、女の人には全然腹立たないんだよね」って言ってて、真性チャラ男ってマジですごいなって感心しました(笑)。心広い!そして私も許してもらえるのかーって思うとうっかり好きになりかけるよね(笑)。モテる人って多分めっちゃ心広くて、もしかして受け入れてもらえちゃう?とか思わせるのうまいんだろうなーって思った。この齋藤さんってどういう人なんだろうなー。モテるのかな。この歌読んでるとうっかり好きになりそうですね♡
後半は、
じいちゃんこっちこっちじいちゃん上がってこぅってば(ただいま 波が 押し寄せて おります) くそっ、手も足も出ねえよこれじゃあ
とか、
えー なんとか無事ですが 器物損壊などの被害が、津波が来るそうです
といった、非常に臨場感溢れた歌だらけで、読んでいるだけで当時の不安な気持ちとか、テレビで淡々と言われる「津波が来るそうです」といったアナウンスとか、緊急地震速報のアラーム音とか、日本列島の太平洋側に津波警報の赤いラインがずっと引かれているモニターの画面とか、常におさまらなかった余震、世界の終わりみたいな街の様子、色々思い出してめちゃくちゃ苦しくなった。戦後ってこんな感じだったんだろうかって思いながらラジオをずっと聴いてたな。
この歌集は、人によっては読めないんじゃないかと思います。臨場感がすごいですもん。この言葉のパワーすごいなって思います。もうすぐ10年が経ちますね。歌集買おうかな。
ところで上に前半と後半のトーンが全然違うと書きましたが、
アメリカのイラク攻撃に賛成です。こころのじゅんびが今、できました
なんて歌読んでいると、前半のシュール路線の歌も多分本当は社会詠なんだろうなって感じしました。やっぱり惚れそうです(笑)。
肩薄い少年みたいに叫ぶのね「おれは無だ」ってLinkin Park (yuifall)
*Numb(Linkin Park)
停電のないICU、ヘリの轟音 地面の揺れには慣れてしまった (yuifall)