書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。
かんたんなものでありたい 朽ちるとき首がかたんとはずれるような
この気持ちは分かります。静かでシンプルな自分でいたいときがあるんだよね。木でできた人形みたいな。で、首がぽろっとはずれるの。「かたんと」って表現が好きです。
<つれていって>と<つなぎとめて>がせめぎあう娼館、はるのひるのわたしは
この歌、解釈ができないのですが何となく心に残っています。はるのひるのわたしが娼館なのか。一体何をひさいでいるんだろう。<つれていって>は分かるけど、<つなぎとめて>は何なんだろう。
娼館というよりも遊郭みたいなイメージです。真昼で、まだあたまがぼんやりしていて、ここから出られない自分の運命を考えてるんだけど、でも外の世界を知らないから本当は出ていくことがこわい、って感じ。年を取ったらどうなるんだろうっていう不安とか、ていうか当時は梅毒とかやばかっただろうし長生きできなかったんだろうな…。そうやって死んでく人たちを間近に見ながら暮らしてたんだろうと思います。いつか自分もああやって死ぬんだろうなって。
人はすぐいなくなるから 話してよ 見たことのない海のはなしを
これは誰に言ってるんだろう。人じゃない何かなのかな。人よりもずっと寿命の長い山とか木とか星的なものに語り掛けてるのかな。地球かもしれないな。
この人の歌にはちょっと寂しい透明感とロマンを感じます。
湖に沈むみたいに輪郭がふやける、きみがいなくなったら (yuifall)
「好きだった、むかしね」ぼくは逆立ちで星の貝殻踏むオルゴール (yuifall)