「一首鑑賞」の注意書きです。
226.逃げてたら余計に怖くなるからな 青天に薄い雲ばかり浮く
(染野太朗)
砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで山下翔が紹介していました。
基本的に間違いが許されない仕事をしているのですが、それでも間違うことがあります。その時、どれほど怖くても、この間違いを100%認めて自分のするべきことをしなくては、と思う。「逃げてたら余計に怖くなるからな」って言うのは本当にその通りで、立ち向かえば問題は実像になるけど、逃げればどこまでも大きい虚像になって膨らんでいきます。
鑑賞文にも
そうしているうちに解決すればいいのだけれど、その問題と向き合わないことが、問題をいっそう深刻なものにするし、あるいはそうでなくとも、問題から逃げることは、その問題の虚像をふくらますようなところがある。
逃げてたら余計に怖くなるからな、と突然言われて、これはどこから誰にむかって発せられたことばだろうか、とおもう。鑑賞者のわたしにはかかわりないことであっても、こうして言われてみると、自分にも思い当たることがありそうで、瞬間おそろしくなる。
こうあります。
最後の「青天に薄い雲ばかり浮く」は比喩的表現なんでしょうか。逃げさえしなければ、「問題」は「青天に浮かぶ薄い雲」みたいなものかもしれない、と。それとも、単純に、青天をどことなく陰らせる薄い雲の下、「逃げてたら余計に怖くなるからな」と自分に言い聞かせているシーンなのかな。
全てには立ち向かえない 県道の先にほろびるだけのふるさと (yuifall)