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短歌タイムカプセル-染野太朗 感想

書肆侃侃房 出版 東直子佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。

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染野太朗

 

たろうさんたろうさんとぼくを呼ぶ義父母に鬱を告げ得ず二年

 

 プロフィールをみるとこの人は教員のようで、おそらく真面目な先生で、奥さんのご両親も保守的な方なのかなと思いました。だから打ち明けられなかったのかな。何か期待に背くように感じたのでしょうか。

 多分、みんなが思ってるよりも心の病気の人って多いんじゃないかなと思うのですが、表立って言わないから共有できないんだよね。その辺を普通に歩いている人が抗うつ薬飲んでたり、抗がん剤治療してたり、するから。

 この後いったいどうなったのだろうか。言うことができたのかな、受け入れられたのかな、って考えます。

 

除染とは染野を除外することなれば生徒らは笑うプールサイドに

 

とか

 

福嶋を原発野郎と笑う生徒(こ)を叱ることさえうまくできない

 

っていう歌もあり、10代の子供と日々接することの残酷さ、震災と心の病が二重でのしかかってくる辛さ、教員という職の重さを感じてめちゃくちゃ胸が苦しくなってしまいました。

 

 ところでこの本読んでいて、最初ぱらぱら読んでた時にぱっと目に留まったのに後から誰の歌だったか思い出せなかった歌があって、じっくり読み返してみたらこの人の

 

カーテンに春のひかりの添う朝(あした)はじめて見たり君の歯みがき

 

という歌でした。後朝の歌としてとても爽やかできれいだなって思って心に残ってました。この人の相聞歌、他にもあるのですがどれもとても好きです。

 

 そういえばDNCEの”Toothbrush”って歌が好きなのですが(寝室のドアを閉めてよ、僕の部屋に歯ブラシを置いていきなよ、みたいなちょっとセクシーな歌詞の曲です)、日本語タイトルが「歯ブラシのうた」で笑ったわ。おかあさんといっしょかよ。「はみがきじょうずかな」かよ(笑)。

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幸せとセロトニンとの関係を危ぶみつつも錠剤はのむ (yuifall)

その春はギラつく抜き身の刃なんだね 無慈悲な四月、麗しき五月 (yuifall)

 

 

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