「一首鑑賞」の注意書きです。
46.ではなく雪は燃えるもの・ハッピー・バースデイ・あなたも傘も似たようなもの
(瀬戸夏子)
瀬戸夏子の短歌はよく分からないというか全く意味が分からないのですが何となく心惹かれるものがあって不思議です。最初の「ではなく雪は燃えるもの」から、東直子の
え、と言う癖は今でも直らない どんな雪でもあなたはこわい
好きだった世界をみんな連れてゆくあなたのカヌー燃えるみずうみ
をまず連想しました。「雪」と「燃える」しか繋がりないのに、どうしてだろうな。東直子のインパクトが強すぎるのかな…。
そして、「あなたも傘も似たようなもの」から、雪舟えまの
傘にうつくしいかたつむりをつけてきみと地球の朝を歩めり
人類へある朝傘が降ってきてみんなとっても似合っているわ
笹井宏之の
もうそろそろ私が屋根であることに気づいて傘をたたんでほしい
拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません
をなんとなく連想しました。あと、「雪に傘」といったら
雪に傘、あはれむやみにあかるくて生きて負ふ苦をわれはうたがふ (小池光)
ですかね。
ハッピー・バースデイは、あれだ。『リング』(鈴木光司)の…。今ググってあらすじを読んだのですが、全く理解できなさすぎて私にはホラーを読む能力が全然ないことが改めて分かりました。。
ところで「ではなく雪は燃えるもの」「ハッピー・バースデイ」「あなたも傘も似たようなもの」と3つに区切って読んでいたのですが、すべて「・」で区切られていることから考えると「ではなく雪は燃えるもの」「ハッピー」「バースデイ」「あなたも傘も似たようなもの」と4つに区切るのが正しいのかもしれません。
それにしても、この歌を超意訳(凡人語訳)して「雪は積もるものじゃなくて燃えるものよ、あなたも傘も私を雪から守ってくれるのね、誕生日おめでとう」としてしまうとめちゃくちゃ怒られそうです(何かに)。「似たようなもの」にそんな肯定的なニュアンスないしなー。ていうか、そんな自分にも理解できる低次元にこの人の歌を持って来たくないという勝手な神聖視というか…。
こういう気持ち自分でもちょっと気持ち悪いなって思うのですが、それが詩歌という「形式」の魅力なのかもしれない。
色々考えてみても結局意味は分からなかったのですが、ググってみるとこの歌を取り上げているページはたくさんヒットするので、大勢の人に愛されている歌のようです。なんか分かんないけど好きになるの分かる。
匂いまで連れてきたのねスペインの色大丈夫よく燃えるから (yuifall)