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現代歌人ファイル その14-渡辺松男 感想

山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

渡辺松男 

bokutachi.hatenadiary.jp

わたしっていないんだよね鳥の飛ぶ大きな空地があるだけだよ ね

 

 『短歌タイムカプセル』『現代短歌最前線』にも取り上げられている歌人なのですが、毎回作風が違いすぎ、そして自薦のアンソロジーにあまり同じ歌を引用されない方なのか、毎回載っている歌が違っていて、どれが代表作なのかも、どんな人なのかも全く分かりません。客観的な情報としては1955年生まれの男性らしいのですが…。

 それにしてもこの口調、ときめくなー(笑)。すごいジェンダーレスな感じ。男性なのか女性なのか、歌を読んだだけでは全く分かりません。もう一首紹介されている「わたし」の歌は「落ちるわよ」って言ってるからいわゆる「女性口調」でいいと思うのですが、小説だと「〇〇だわ」「〇〇わよね」みたいな女性とか「〇〇なんじゃ」みたいな老人とか頻発するけど実際そんなしゃべり方の人、ほとんど見ることはないですよね…。なんでその口調を「女性」とか「老人」とか思うのであろうか。

 

 本題から外れるのですがよく「言文一致」って言うけど、口語と文語のレベルだったらそれはアリかと思うのですが、しゃべり口調をそのまま書き言葉にしてしまうと、逆にしゃべり口調とのニュアンスが変わってしまうような気もします。ごく普通の女の子が「そんなんじゃねーよ」とか「マジありえねー」とか言ったりすると思うし、話してると全然引っかからないけど、こうやって書き起こしちゃうとちょっとぎょっとするというか、すごいお育ちのよろしくない乱暴な子な感じしちゃいますよね。文字に起こす際には「そんなんじゃないよ」とか「ほんとありえない」とかの方がニュアンス的には同一な感じがします。しかし「そんなことじゃないわ」までにしちゃうとまた違ってくるなー。

 

 本題に戻ります。。『現代短歌最前線』で木の歌をいくつか紹介したのですが、やっぱり木の歌が取り上げられていて、解説にも

 

 「人間なんてちっぽけなもの」という思想の裏側には自然への畏敬がある。渡辺は「木の歌人」といえるほど木をよく詠み、その多くは擬人化されている。

 

とあります。木への並々ならぬこだわりが感じさせられます。確かに木って、なんか厳かな存在であって、何百年も動かずにしかも生きてそこにあるっていう、唯一無二な感じしますよね。

 

ちょっと恋をおもっただけでもあっ痛い 点は二線のぶつかるところ

 

 そしてこの人の相聞歌、めちゃくちゃかわいい。解説もかわいい。

 

 読んでわかるとおり、いずれも愛らしい歌である。とても中年のおじさんが作ったものとは思えない。

 

と書いてあって、すごいときめいた(笑)。中年のおじさんのかわいい短歌!萌えじゃん!あー、やっぱり私は「少年」よりも大人の男性が好きですね。色々経験して大人になった男の人が、それでもかわいい恋の歌を詠むのに萌えます。

 「あっ痛い」って「アイタイ」なのかなぁ(スガシカオ)。森博嗣の「夢・出会い・魔性」(ゆめであいましょう)、「封印再度」(Who Inside)思いだしたわ。そういえばCOLTEMONIKHAの『そらとぶひかり』って歌もそんな感じだったなー。

 

 

交わらぬコントレイルのよう きみは黙ったままでhe wants all to not really take (yuifall)