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桜前線開架宣言-岡崎裕美子 感想2

左右社 出版 山田航編著 「桜前線開架宣言 Born after 1970 現代短歌日本代表」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 岡崎裕美子②

 

 ただ、この人が相手をどう思っているかはともかく、相手の男性はいつも優しい感じがします。

 

泣きそうなわたくしのためベッドではいつもあなたが海のまねをする

 

羽根なんか生えてないのに吾を撫で「広げてごらん」とやさしげに言う

 

なんて好きで。「君が好き」というストレートな歌もあり、多分このアンソロジーに載ってる中の歌だけでも登場する男性はおそらく一人ではないだろうけど、中には好きだった人もいたのかもしれない、と思いました。解説には

 

 ただ、ひたすら未来の見えない「停滞」でしかない恋愛が目の前にあり、その一方で身体だけは確実に年齢を重ねてゆく。そのギャップに引き裂かれる心を、短歌というかたちで解き放つことで、「物語」の否定に意味を与えようとしている。

 

と書かれています。確かに「恋愛」という文脈で読めそうな歌もあるんですよね。だからその視点から見ると、「ただの恋愛によって傷ついた存在」ということになるのかもしれません。

 

 痛々しいセックスの歌が並ぶ中で、時々楽しそうな感じのもあって、

 

見つめあってするのが好きになっている キセル乗車の数だけ会った

 

とかいいな。「キセル乗車の数だけ」っていうエッヂの効いた感じが好きです。どのくらい会ったら見つめあってするのが好きになるんだろう。毎回毎回セックスの前からキセル乗車で心拍数を上げて行ってんですね。吊り橋効果か。もはや前戯ですね。

 

 あとは

 

待ちあわせの駅を「快速」と「各停」に振り分けている 人柄に合わせて

 

ってのもあって、何人男がいるんやろなーって考えたわ(笑)。でも、「人柄に合わせて」振り分けるんだね。やり方に合わせてじゃなく。どんな人が快速でどんな人が各停なんだろう、って想像しました。ちなみに想像したイメージは、サンキュータツオの『国語辞典の遊び方』に登場する辞典擬人化の男子たちです(笑)!ベネッセくんは快速で岩国くんは各停。

 

 あー、あれやわ。瀧波ユカリの『臨死!!江古田ちゃん』の世界だわ(笑)。なんか納得した。

 

 

おんなのこってどんなかんじかしりたくない? ここでかんじてみたくならない? (yuifall)

もう少し奥まで、このままここにいて、きみのcumってきもちがいいよ (yuifall)

 

 

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