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短歌タイムカプセル-土岐友浩 感想

書肆侃侃房 出版 東直子佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

土岐友浩

 

砂浜はまだつめたくてあなたなら僕よりもっと遠くまで行く

 

 「まだつめたい」砂浜は多分朝で、裸足で歩いてて、僕よりもっと遠くまで行く、っていうのは、海の向こうまで、とか、活躍する的な意味合いなのかな。それとも、砂浜に残った足跡を見ていて、僕はここまでしか行けない、ってことなのかな。明け方の景色を連想しました。裸足で歩くくらいだから綺麗な砂浜なんだろうな。貝のかけらがじゃりじゃり落ちてたりしないところ。

 高良留美子の「海鳴り」という詩の一節を思い出しました。

 

そうやって いつまでも

わたしは待つ

夫や子どもたちが駈けてきて

世界の夢の渚で遊ぶのを。

 

 女性の生理現象を海辺に例えたりもしますよね。この人は男性なのでそういう意図の歌ではないのかもですが。

 

乗客は乗り込んだのに雨の日のドアをしばらく開けているバス

 

 これは情景が思い浮かびますね。時間ぴったりまでドアが開いてて、ちょっと寒いなって思いながら外の雨音を聞いてる感じ。窓に頭を凭れかけて、窓ガラスに当たる雨粒を眺めてる感じ。ぼんやりしてるとそのうち時間になって、音が鳴ってドアが閉まって、アナウンスが入ってバスが発車する。こういう何気ない光景を切り取った歌っていいなって思います。

 

 

一時間以内に迷子にしてほしい青信号だけ辿ってくから (yuifall)

KOTENRAのピアスあなたは揺らしつつ寄せられるのを待ってる、もっと (yuifall)

 

 

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