書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。
江戸雪
ここはまだ平和ですのと咲いているひまわり風にゆれるひまわり
涙は ぜいたくひんのようであり花携えず運ばれる死者
今世界中がコロナウイルス感染症で大変なことになっているのですが、この「短歌タイムカプセル」を読んでいて、あらゆる時代においてあらゆる時代の状況を重ねうる歌があるのだなぁと変なところで感じ入ってしまいました。この歌なんてまさにそうですよね。
(ちなみにこの記事は非常事態宣言中の2020年4月に書いたのですが、その頃より感染者増えてますね…)
ニュースで見た、人がいない野原にゆれるひまわりとか、感染の危険のためにご遺族に会うことも許されず焼き払われるご遺体とか、日本よりもっと死者数の多い国では遺体収容所のテントが張られたりとか、そういう光景を重ねてしまい、胸が痛みました。
これらの歌は2009年の歌集に収録された作品なので、作られたのは10年以上前ですね。短歌はその短さゆえに普遍性を持ちうる存在なのかもと思いました。
しかし、これらの歌はどの情景を詠んでいるのかな。2011年よりも前だから、同時多発テロ事件とかなんでしょうか。
膝くらくたっている今あとなにを失えばいい ゆりの木を抱く
この人の歌は他に相聞歌も色々紹介されているのですが、これが特に好きでした。綺麗なのにちょっと暗くてなんとなく淫靡な感じが。
空き地にはたんぽぽの花咲き乱れ距離を保った井戸端会議 (yuifall)
上半分だけの陽灼けを置き去りに雨最終便 さようなら夏 (yuifall)
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