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短歌タイムカプセル-梅内美華子 感想

書肆侃侃房 出版 東直子佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

梅内美華子

 

生き物をかなしと言いてこのわれに寄りかかるなよ 君は男だ

 

 これはちょっと私には難しいですね。「君」という呼びかけからは恋人が連想されますが、恋人に寄りかかってダメなら男は一体何に寄りかかればいいの?この感じからすると、私も彼に寄りかかってはいなさそうなので、お互い自立した関係をお望みってことなのかしら。「生き物をかなし」というニュアンスからはやっぱり肉体関係がある相手が連想されますし、血縁の相手や友達ではないんじゃないかなと。これ以上突き詰めるとジェンダー論とか当時のフェミニズム的なことを考えなくてはならなさそうです。

 

 でもですけど、この人の歌で(このアンソロジーには載ってませんが)

 

わが首に咬みつくように哭く君をおどろきながら幹になりゆく

 

という歌が私はすごく好きで、多分「君は男だから寄りかかるなよ」と励ましながら、本当はしがみついて哭くことをゆるしてあげているんじゃないのかな、と思っています。

 

赤き玉とろりとできてこぼさなかつた泪のやうな線香花火

 

銀髪の婦人のやうな冬の日が部屋に坐しをりレースをまとひ

 

 この2首は、比喩がいいなって思いました。どちらも情景が目に浮かぶし、こういう非生物を文学的に捉える目線に憧れます。

 

 

人生つてさよならだけね 血を持たぬ樹と知り乍ら寄り給へ君 (yuifall)

きみのこと必要だよって寄りかかるだけの強さがあの日あったら (yuifall)

 

 

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