「一首鑑賞」の注意書きです。
306.雪掻きの音が私にかぶさりてくるように聞く朝のふとんに
(花山周子)
砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで井上法子が紹介していました。
朝、ふとんで寝ていて、外で雪かきをしている音がして、その「ザッ、ザッ」って音を、自分にかぶさってくるみたいに聞いていると。意味合いとしては分かりやすいのですが、なんというか、「かぶさりてくるように聞く」っていうのは、罪悪感と多幸感が入り混じった表現のように感じました。
つまり明らかに外では雪が積もっているわけで、おそらくは雪かきをしないと外出が困難な状況なわけで(車が出せないとか)、本来だったら自分も雪かきをしなくてはならないんだけど、ふとんで寝てるわけです。ふとんの中は暖かいし眠いしぬくぬくしていて超ハッピーなんだけど、一方で誰かが(多分家族が)雪かきをしていて、後ろめたい気持ちもある。起きたらなんか言われるかなーみたいな感じもある。そういうのが全部あわさって、「かぶさりてくるように」なんじゃないのかなぁと思いました。ちょっと現実逃避みたいな…。若干夢うつつみたいな。
この歌の受け止め方は、「雪掻き」をどうとらえるかによってだいぶ変わりそうですね。全然必要ない地域に暮らしている場合と、必須の場合で全然違いそう。なんていうか、きっと仲のいい家族のおうちで育ったんだろうなって気がしました。親が雪かきしてくれて、子供が全然手伝わなくて家で寝てても許される感じの。そういう「当たり前」の幸せな雰囲気が伝わってきます。
僕のものじゃない記憶がよみがえる雪は、そうだね、仕方なかった (yuifall)
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