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05x11 – Synecdoche 感想1

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 前回のインパクトが強すぎて放心状態のままなかなか次を見られずにいたのですが、ラストまで見守りたいと思います。

 このタイトルは「提喩」だそうです。青い目の人に「よう、ブルーアイズ」って呼びかけるようなものだとか。Wikiを見ると、この回では大統領官邸を「ホワイトハウス」と言ったり大統領をマシンが「Relevant One」と呼称したりしていてそういう比喩表現を言っているのかもしれません。

 

 冒頭、ルートの埋葬シーンからスタートします。つ、つらい…。あとリース君が誰とでも相合傘することが分かって複雑な気持ち…(ハーパーともショウともしてた)。前回が10月半ば~後半くらいですが、今回は11月4日スタートです。数週間も埋葬しないものなの?

 

So Shaw didn't show. Just the two of us, then.

ショウは現れなかったな。俺たち2人だけか

It's hard to mourn during a war. Root was a good soldier. She'd understand that.

戦争の間に喪に服すことは難しい。ルートはいい兵士だった。分かってくれるだろう

She was.

そうだな

She deserves to be buried like one. At least under her real name.

彼女はいい兵士らしく埋葬されるのにふさわしい。少なくとも、本名で

Then Samaritan would be able to trace her back to us.

そうすればサマリタンが彼女を追跡し俺たちに辿り着くことになる

I really admired her.

俺は彼女を尊敬してた

Don't get me wrong. She was crazy as a clown.

勘違いするなよ。彼女はピエロみたいにクレイジーだった

But she had conviction.

だが彼女には信念があった

She gave this fight everything she had.

彼女は持てる全てで戦った

We could count on her to protect our lives with her own.

彼女は命懸けで俺たちの命を守ってくれたんだ

That's exactly what she did. Rest in peace, Cocoa Puffs.

まさにそうだな。安らかに眠れよ、姉ちゃん

Lord knows you deserve it.

それに値すると神は知っている

Now it's time to finish what she started.

彼女が始めたことを終わらせる時だ

Any ideas how to do that?

どうやってするんだ?

Divide and conquer.

分断し制圧する

We have to find Harold, and we need Shaw.

ハロルドを探さなくては。ショウが必要だ

 

 最初の「Shaw didn't show」って駄洒落か?2人がルートをどう思っていたか分かってしみじみした。リース…。最初はあれほど嫌ってたのに、最後は仲間として信頼するようになっていたんですね。2人がフィンチを挟んでピリピリしてるとこも、信頼し合って一緒に戦うとこも好きでした。ファスコは最後までルートをシリアルの名前で呼ぶよね…。これってどういうスラングなの?シリアル・キラーっていう意味の駄洒落?

 

 リースはショウのところへ。ショウはルートの死に対して「何も感じない」と言い、リースとファスコは彼女を案じています。ショウは悲しみ方が分からない。自分で「私は悲しみや同情は分からない。でも怒りなら分かる」と語る通り、今回も突然怒り出します。

「このシミュレーションはクソ」

 そして自ら監視カメラに身をさらし、サマリタンの工作員に連れ去られてリセットされるのを待ちます。しきりに耳の後ろを触る仕草も、「自分はまだサマリタンのシミュレーションの中にいる」と言い聞かせているようだった。ショウを止めようとするリース。そこに見知らぬ車が急停車し、サマリタンの工作員かと思いきや、ショウに偽の身分を渡して去っていきます。書類にあった名前は「ソーンヒル」。リースはマシンがショウに仕事をさせようとしていることに気づきます。日替わりの仮の身分、「ルートの仕事だ」と。ショウはそれを聞いて書類を地面に投げつける。「潜入には向いてない」。リースは、マシンが仕事をさせるのだからフィンチに関係のあることだろうと信じ、ショウに仕事をさせようとします。そこにかかってきた電話。それは今度の「番号対象者」がアメリカ大統領であることを示すものだった。

 

 3人はDCに向かうのですが、そこで流れてくるピアースのニュースが笑える。

 

In related news, CEO of Alchementary and eccentric tech billionaire Logan Pierce

関連情報として、アルキメンタリーのCEOでエキセントリックなIT大富豪であるローガン・ピアース氏が

made headlines today when he refused to share client data with the NSA.

NSAへの顧客情報の共有を拒絶したことで今日の見出しを飾りました

 

 エキセントリックとか言われちゃうの?ニュースで。

 

 この時リースはホワイトハウス周辺まで行くのですが、当然アメリカ大統領にはそう簡単には近づけません。「シークレットサービスがいるから」というリースにショウは「奴らなんてお飾りよ」と言います。

 

They're not so bad... even considered joining their ranks back in the day.

そんなに悪いもんじゃない…俺もかつてはその仕事につこうと思っていたことがある

Oh, yeah? What stopped you?

そうか?なぜそうしなかった?

They work around the clock, no choice in who they protect, and threats never stop coming.

彼らの仕事は昼夜を問わないし、守る人間は選べず、脅威は常に来続ける

Well, you really dodged a bullet there.

だな、あんたはマジで銃弾を避けたってわけだ

 

 この会話面白すぎたわ。リース君…。フィンチに与えられた仕事、まさにそれじゃん。ファスコも「こいつ何言ってんだ?」的な返答で笑えます。

 

 今回は「なぜアメリカ大統領の番号(「有用」番号)がチームに出され、ISAは動かないのか」、「リースがやたらと「視線を感じる」と言ったり昔の対象者が現れたりするのはなぜか」というあたりを軸に話が進むのですが、まあ細かいあらすじはいいや。

 パーティへの潜入とかテロリストのアジトを突き止めたりとか色々ありましたが、最終的には国民の監視に反対するテロリスト集団がドローンを使って車を爆破することで大統領を暗殺しようとしていることが分かります。ショウとリースは大統領を車に乗せないためにわざと狙撃し警戒させ、大統領の救出には成功しますが、自分たちが狙撃犯と間違われて(まあ、実際撃ってるし)シークレットサービスとテロリスト集団の両方から狙われます。助けてくれたのはジョーイ・ダーバン。S1E3のMission CreepのPOIでした。

 

 ショウとリースの会話。

 

The threat to national security was real, but ISA didn't step in.

国家安全の脅威は本物だったのに、ISAは介入してこなかった

We saved him. It's over.

俺たちが彼を救った。終わったんだ

We only get irrelevant numbers, Reese.

あたしたちは「無用」番号しか受け取らないよ、リース

What are you saying?

何が言いたい?

I'm saying that Samaritan decided that the president of the United States was no longer relevant.

つまり、サマリタンはアメリカ大統領ももはや「有用」じゃないとみなしてるってこと

And ISA just let it happen.

ISAも事態を放っておいた

If Samaritan wants to take down the entire world, I'm sure as hell not gonna make it easy for it.

もしサマリタンが全世界を征服したくても、絶対に妨害してやる

That's what Root would have wanted.

それがルートの望みだった

She's intense.

彼女激しいね

She's in mourning.

悲しんでるんだ

 

 S4のラストで示された通り、サマリタンにとってはもはや「国家」は意味がない。グリアの理想通りの方向に進んでるってことかな。多くの人間が気付きもしないうちに世界が変わってしまっていることを象徴的に示すエピソードでした。

 ショウは怒ってるけど、ようやくルートの死を現実として受け止めていることが分かる。彼女が悲しんでいることをリースは感じ取ります。リースがルートやショウを気遣うシーンいつも好きです。

 

 そしてもう一つの謎、リースが感じていた目線は?っていう方もまた面白かった。

 ピアースが「Just a concerned third party.(憂慮する第三者だ)」と自称し、「これって楽しくない?」だってさ。ジョーイと「ダーバンさん」「ピアースさん」とMr.付けで呼び合ってるのも何となく笑える。いつか「ジョーイ」「ローガン」って呼び合うようになんのかなー。

 

 さて、ピアース、ジョーイ、ハーパーは3人組で活動し、マシンからの番号を受け取って「無用」に対処していることが分かります。

 

We got your number, John. The Machine sent you.

僕たちは君の番号を受け取った、ジョン。マシンが送ってきたんだ

Told you our lives were in danger.

君の命が危険だってね

Gave us a chance to intervene.

俺たちに介入のチャンスをくれた

This is my new cause.

これが僕の新しい事業だ

Though in this case, it was a little too clear you were the victim and not the perpetrator, and that took some of the fun out.

まあこの場合、君は被害者で加害者じゃないってことがちょっとはっきりしすぎてて、あんまり面白くはなかったよね

You're not such a bad guy after all.

あんたは結局そんなに悪い男じゃなかったってことか

Oh, that's endlessly debatable, but no. No, not in this case.

それは永遠の議題だけど、まあ、この件に関してはそうだよ

Harper?

ハーパー?

I think this makes us even, Detectives.

これで借りは返したよ、刑事さんたち

Somebody want to tell me what the hell's going on?

一体何が起きてるんだ?

It's simple: the three of us enjoy preventing crimes involving ordinary people.

簡単だ。僕たち3人は、一般人が巻き込まれる犯罪を防ぐことを楽しんでる

Well, in your case, maybe not so ordinary.

あー、あんたの場合、一般人とは言えないけどな

They're working for the Machine.

彼らはマシンの指示で動いてるんだ

I knew I was being watched.

だから視線を感じたのか

And your timing at that fund-raiser was impeccable.

支援者のパーティーであんたが現れたタイミングは完璧だった

You cut the lights at the brownstone.

ブラウンストーンで明かりを消したのはあんたか?

It was way cooler than that, but yes, that was me.

もっとクールだったけど、まあそうだ。僕だね

So while you were busy saving the president...

君たちが大統領を救うのに忙しくしてる間…

We were securing your exit strategy.

俺たちはあんたたちの出口戦略に動いてた

You guys do what we do?

こいつらは俺たちがしてることをやってるのか?

What, you thought New York had the market cornered on murder?

NYが殺人の集中する市場を持ってるとでも思ってる?

How many more of us do you think there are?

他にもこんなチームがどれくらいあると思うか?

Could be none, could be many. Who's to say?

ゼロかもしれないし、たくさんあるのかも。知らないな

Hey, John, I've got a parting gift for you.

ジョン、お別れの贈り物がある

Couldn't help but notice you were down a member.

一人メンバーが足りないことに気付かざるを得なかったよ

How did you get this?

どうやってこれを手に入れた?

I can't give you all my secrets.

全部の秘密を話せるわけじゃないんだ

Speaking of which, we got a new number.

そういえば、新しい番号が出た

Damn things won't stop coming, huh, John?

クソみたいな出来事は止まらないよな、ジョン?

 

 このシーンとても好きです。ピアースが大富豪のハッカーの役割を、ジョーイが介入役をこなし、ハーパーが補佐してる。マシンは他にもチームを作ってたんですね。2人で始めたことが、救った人によって受け継がれていくのいいなって思った。今までもゾーイとかティルマン先生、ケイレブ君みたいに対象者が助けてくれるシーンあったけど(イライアスやカーター、ショウももともとは番号対象者ですよね)、サマリタン編が佳境に差し掛かったS5ラストでこういうシーンを見せてくれることで、分かりやすく「人助け」の効能が見えるのは悪くないです。

 

 もともと、リースとフィンチの始めたことは、「善きサマリア人(Good Samaritan)」の行為だった。つまり、「自分が不利益を被るリスクを顧みず人を助ける行為」です。だから見返りは求めていないし、助けた人に助けられることを期待していたわけじゃない。でも、Samaritanとの戦いにおいてかつての対象者が協力してくれる、というのはとても示唆的だし、こういう「情けは人の為ならず」みたいなことが目に見えるのもいいと思います。

 それにしてもS1E5の判事さんとか絶対再登場フラグだったと思うのに出なくて残念だったなー。ミラとかソフィアは難しいと思うけど新聞記者の人(マキシン)とか弁護士さん(アンドレア)とかどうかなぁ。あとレオンね。出てきてほしかったですね。でもこうやって思い返してみるとそれなりにかつての「番号」の人が協力してくれてますね。リース&フィンチが永遠に仕事を続けられるわけじゃないし、人間は死ぬけど善意は受け継がれる、って考えれば素敵なことだと思う。

 あとピアースがフィンチのこと覚えてて探してくれたのも好きだし、「秘密は話せない」とか言ってちょっとフィンチっぽいの面白かったです。秘密主義者(フィンチ)と大切に思う人がいない人間(リース)と社会病質者(ショウ)の3人組から、世間に名が売れすぎのセレブ(ピアース)と所帯持ち(ジョーイ)とリア充(ハーパー)の3人組になってんのも笑える。スピンオフあったら面白かったかも。過度のシリアス展開なしで数話くらいなら見たいかも。

 

 そういえばジョーイの中の人はルートの中の人の旦那さんなんだそうですね。友情出演?今回ルートの出演声のみで残念だな…。

 

つづきます。

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