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04x12 - Control-Alt-Delete 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 皮肉の効いたタイトルですね。「コントロール」という単語を入れながら、「強制終了」のコマンドです。

 最初のコントロールのナレーションも、You are being watched.から始まっていて、「自分も見られている」「事態は自分の手の届く範囲を超えている」ということをコントロールが知らないことが示唆されています。

 

 それにしても、なんですけど…。ここから2回分、「サマリタンは誰にも制御されていない」「サマリタンは人間を使い捨てにし、実験台にしている」というストーリーはまあこの流れではありだと思うのですが、「ショウを追う」ストーリー、落としどころがないのにどうして加えたのか??

 メタ的にはショウ、というかサラ・シャヒさんは妊娠での一時降板だからどう考えてもしばらく復帰は無理です。だったら、「マシンチームはショウは死んだと思っているが実は生きていた」くらいでよくない??下手に「生死不明」にするから追わなきゃなくなるし、追っても落としどころがないじゃないですか。「生死不明」→追い続ける(いつまで??)、「生きているのが分かる」→取り戻す(無理)、「死」→それはストーリー的になし、となると、「死んだと思わせる」しかないのでは?「生死不明」のままでは結局どこかで誰かが「やめよう」って言わなきゃなくなって、それはフィンチの役割になるじゃん…。このストーリーライン、もっとどうにかできなかったのかなぁ。

 

 ショウの退場までは丁寧に描いてくれてる、って前回書きましたが、退場後の処理がありましたよね、そういえば…。カーターの場合は、確実に死んでいることが分かっているし、死の原因も分かっているから、復讐に燃えるリースと、同じく怒りに燃えているが警察官として戦うファスコ、というキャラクターの対比や全員の心情が丁寧に描写されていていいストーリーだったと思うんです。S3のE10からE13まで、リースの葛藤と復帰もよかった。

 でも今回は急に決まったことだったからかショウ退場後の扱いが雑っていうか…。生死不明のまま、フィンチに「諦めさせる」役をさせるのはかなりむごいと思ったし、ルートは気持ちの置き所がない。フィンチは「諦めてるのね」と今回はコントロールに、次回は「諦めてたくせに!」とルートになじられてましたが、「いつまでも追う」選択肢が(メタ的に)選べない以上、「死んだ」と思って先に進むしかないじゃん…。他にやりようがあった?

 

 この2回、「ショウを生死不明の状態にする」という状況説明のためにフィンチを「ショウの生存を諦めている人」として描写しているのが結構受け入れがたくて。でもここでフィンチをルートと同じテンションにして延々ショウを追い続けるストーリーできないじゃん。フィンチが「もうやめよう」って言わなかったら、4人全員で2年くらいショウを追い続けることになるのでは??そんなPOI意味分からんし。

 カーターの時と同じく、

ショウは死んだ(と全員思っている)

→ショウの仇、マルティーヌを必死で追うルート、フィンチは「近づくのは危険」と止めようとするが静止を振り切りリースと2人で暴走

→サマリタンに近づくにつれ、IDを変えられないリースは危険に。ルートが「私の身分は日替わり」とリースの助力を蹴って単独行動

→リース&フィンチは人助けの仕事へ、ルートはマルティーヌを追い詰める

くらいだったら納得したと思うのですが。

 でもこれだとカーター&リース&シモンズの二番煎じかな…。結局最後はルートに狙われたマルティーヌの番号が出て、シモンズの時と同じ状況に…これどうする??みたいになっちゃうよね。サマリタンのエージェントだから死んでもいっか!ってなんのか?もしくはルートの番号が出て、被害者にせよ加害者にせよ番号が出たら放置はできない、と加勢に行って全員サマリタンに見つかるか。

 

 なんにせよどん詰まりだなぁ。まあ、カーターの時と同じく、心理的に割り切れないルートが一時離脱、は避けられなかったと思いますが、「これは戦争よ!全員が助かるとは思わないで!」とか「全員生き残れるわけじゃない。覚悟はしてよ」とフィンチに何度も迫っていたルートが、一時は戦線離脱したフィンチをそうやって呼び戻したルートが、いざショウが生死不明になったらフィンチを責めるっていうのはどうなのかなあ。何度も書くけど私は心情的にフィンチ寄りだし、というかリース、フィンチ、ショウ、ルートの中ではフィンチが一番(頭脳はともかく)心情的には一般人の感覚に近いと思うので、S3半ば以降のフィンチが心理的に追い詰められたり非情な決断を迫られたりするシーンつらいです。他にどうしろと??ってなる。

 

 割り切れなくてめちゃくちゃ色々考えてたんですけど、やっぱりカーターの時と違って何がまずいかっていうと、カーターは警官で、「無名の人の命を救う」ことを職務にしてた。だからカーターの死があっても「無名の人を助けることをやめてしまわないで」っていうメッセージが生きるし、その後も細々と人助けを続ける動機になったと思うんです。

 でも、ショウの離脱は、「これは戦争、誰かが死んでも前に進まなくては」という使命感を持って戦争に立ち向かうことの動機にはなっても、「無名の人を細々と助ける」ことの動機にはならない。ショウが生死不明なのに人助けって??AI戦争真っただ中なのに人助けって??ってなるじゃん。

 どうも、元々やっていたこととストーリーが遠ざかりすぎてるし人助けのモチベーションもよく分かんないしこれじゃあ「人助けとかやーめた」ってなるよそりゃ…。

 

 ちなみにコントロールの「唯一大切なもの」は娘でした。まあ、特にその後話に絡んでこないけど…。もう「大切なものを人質に取る」話はグレースでやったからね。

 

 本題に戻ると、コントロールはリサーチ2.0(サマリタン)の提示してきた証拠に従い、テロリスト集団の家の襲撃を実行することになります。コントロールは何かがおかしいと思う気持ちと、リサーチは間違わないという気持ちで揺れている。

 かつてのリサーチ(マシン)は番号しか出さなかったので、人間のエージェントが調査をして、証拠が確実になったところでテロリストを殺害していた。でもリサーチ2.0は、証拠まで全て揃えた状態で「テロリストだから殺せ」と言ってきて、ほとんど疑問を差し挟む余地がない。

 コントロールは提示された証拠を見て納得する一方で、隠された情報に疑問を抱く。でも、完全には疑うこともできずにいる。なぜなら自分は今までその情報をもとに人を殺してきたので、情報を疑うことは自分のやってきたことに疑問を抱くことになるから。同じく、エージェントの「クリムゾン6アルファ」グライスも、尋問や調査なくただ殺害だけを命じられることに疑問を抱いている(ただしこれに関してはよく分からん。ショウだってマシンの時代からずっとそうしてきたっぽくない??「クリムゾン」は調査担当、「インディゴ」は殺害担当なのか??)。

 

 このストーリーでは、サマリタンがテロリストだと名指しして証拠も提示した4人組は、実は「オウムガイ」のテストに合格してサマリタンのために働かされていた青年たちだったということが分かります。サマリタンは優秀な人材を使い捨てにして、コントロールに後始末をさせている。コントロールはサマリタン(というか、リサーチ2.0を管理しているデシマ)に不信感を抱くものの、それでもリサーチ2.0の情報を元に結局4人全員を殺してしまいます。

 ちなみに最後まで逃げていたヤシンなんですけど、この人マシンの顔認識では白枠です。つまり、本当にテロリストではないということになります。政府はかつてマシンを悪用し、番号が出たことにしてダニエル・アキノを殺させたりしてましたが、今度は政府の方がサマリタンにそれをやらされているということが分かります。

 

 その合間に、ルートとリースがコントロールはショウの行方を知っていると信じて追跡し、コントロールを捉えて拷問するシーンが挟まります。しかし視聴者側からはコントロールにすでに実権がなく何も知らないことが分かるので、コントロールは拷問され損だしルート&リースは骨折り損のくたびれ儲けだし虚しい気持ちいっぱいで見守るしかなく…。

 

 私は、この2回でフィンチはかなりショウのために尽くしたと思うんだけどね。リースとルートは激昂していてコントロールと冷静な会話が成り立たなかったのですが、フィンチはかなり急所を突いてます。また、ここでサマリタンの工作員の携帯にワームを仕掛けたのもフィンチでした。

 

Sameen risked everything at the stock exchange, not just to save our lives, but to pull the whole world back from the brink of disaster, all with the knowledge that no one would ever even know her name.

サミーンは証券取引所で全てをリスクに晒した。私たちの命を救うためだけではなく、全世界を破滅の淵から引き戻した。誰も彼女の名前すら知らないのに

Everybody here, all of us, spend our days saving the lives of people we don't even know.

ここにいる誰もが、私たち全員が、知ってすらいない人の命を救うことに全てを費やしている

Each loss is unbearable, but when it's someone you know...

どんな喪失も耐えられないのに、もしそれが自分の知っている人だったなら…

You think she's dead.

あなたは、彼女が死んでいると思ってる

You think Shaw is dead, and you don't have the guts to tell them.

あなたはショウが死んでいると思っている。そして彼らにそれを言う勇気がないのね

We don't know that, Finch.

分からないだろう、フィンチ

The surveillance footage from the stock exchange was unreadable.

証券取引所の監視カメラは読み取りづらかった

Why does everybody keep talking about the stock exchange?

なぜ全員が証券取引所について話し続ける?

What the hell does any of that have to do with Shaw?

ショウと一体何の関係がある?

Oh, you don't know.

ああ、あなたは知らないのか

Samaritan crashed the stock market.

サマリタンが市場をめちゃくちゃにした

There were armed men in the basement of the exchange, a massive firefight six stories underground.

取引所の地下には武装した集団が押し寄せ、激しい銃撃戦になった

Sameen was shot.

サミーンは撃たれたんだ

I admit to not seeing your angle here, Harold.

あなたの意図が分からないことを認めよう、ハロルド

Why spin this tale?

なぜ作り話をする?

A shootout beneath the beating heart of the American economy, and you don't know anything about it?

アメリカ経済の心臓の真下で銃撃戦があり、あなたはそれについて何も知らないのか?

You're in the dark... and you're being kept there for a reason.

あなたは闇の中にいる…、そして何らかの理由で真実から遠ざけられている

How long until your employers decide to kill you?

あなたの部下があなたを殺すことを決意するまであとどのくらいだろうか

Oh, I see now.

ああ、分かった

You're trying to turn me against my employers, against my country.

あなたは私に部下や国を裏切らせようとしている

You expect much success with that, Harold?

成功すると思っているんだね、ハロルド

So desperate to find Shaw, you're willing to say anything to me.

ショウを見つけ出そうとして、あなたはどんな嘘でもつくつもりなのか

You foolish woman. You don't understand.

あなたは愚かな女性だ。何も知らない

You're not in control of anything.

あなたはもはや何も支配していない

You're just a clean-up crew. You're the janitor.

ただの掃除屋、用務員だ

 

 冷静で冷酷なフィンチかっこいいよねー。うっかり萌えました…。そこでコントロールが発信機でエージェントを呼び込み戦闘になるのですが、リースがグライスと戦って殺そうとして、「ショウを助けてくれた」と見逃すとこ好きだった。エージェントを呼びこませたのもフィンチの仕掛けた罠でした。フィンチはファスコが待機している車内で、サマリタンの工作員にワームを仕掛けます。

 

You almost done checking email?

メールチェックは終わったか?

There are six ISA operatives on site.

ISAの工作員はここに6人いる

I should be seeing six identical signals, but I'm not, I'm seeing seven.

6つの同一な信号が見えているべきだが、そうではない、7つ見えている

Six standard signals, one anomaly.

6つの標準的な信号と、1つの異常な信号

The anomalous phone belongs to a Samaritan agent who's embedded with Control's operatives.

この異常な信号が、コントロール工作員に紛れ込んだサマリタンのエージェントのものだ

I'm uploading a worm to that phone.

私はこの電話にワームをアップロードしている

The worm will scour the phone for any information relating to Sameen, and then 18 seconds later, move on the to next Samaritan phone, and it won't give up until we find what we're looking for.

そのワームは電話の中でサミーンに関するあらゆる情報を探し回り、18秒後には次のサマリタンの携帯に移動し、私たちの探しているものが見つかるまで諦めないだろう

Sorry, were you talking to me?

悪いな、あんた俺に話してた?

 

 ファスコとフィンチのやり取り笑えます。フィンチはいちいちプロセスを口に出すのが癖で、ファスコは「こいつの言ってること全然分からんが、まさか俺に話しかけてんじゃないだろうな?」って。とにかく罠を仕掛け、コントロールから情報が引き出せないと分かったところで撤退します。

 

 全体的に茶番感が強い拷問シーンでしたが、リースかっこよくてルート綺麗だったわ~。ていうアホな感想しか出てこない…。次回は更に茶番感が増してくるので、とにかくひたすら顔の美しさを堪能するしか楽しみようがないですね。

 

 最後、コントロール証券取引所へ向かいました。何事もなかったかのような設備ですが、塗装の痕跡を見つけたところで終わります。最後の会話が意味深でした。

 

Has the area been cleaned recently?

ここのエリアは最近清掃したの?

I'm the head of security, lady. Do I look like a janitor to you?

私はセキュリティのトップですよ。清掃員に見えますか?

 

 コントロール、S3ではかなり迫力あったのにいきなりこの扱いかぁ…。サマリタン、強大になりすぎてちょっとなー。「大統領に会わせろ」も白けたし(24かよ!ってなった)。ほんと、政府が「無用」と見なした一般人の犯罪をちまちま助けてた最初のストーリーはどこへ行ってしまったんだ…。

 コントロールは最後何かに気付いたっぽいし、デシマに一矢くらい報いてほしかったですがそういうわけでもないようで、せっかくめっちゃキャラ立ちしてたのにもったいないよねー。

 

 そういえば、S1E1の感想の時にリースがニュースで「person of interest」って言われてて、これが最初で最後かも…、って書いてたんですが、今回ファスコがリースとルートのことを言ってました。男女2人組の強盗が警備員を襲ったりなんだりしてるっていうニュースの捜査担当者へのインタビュー中にファスコが

 

We have a few leads and several persons of interest we're following up on.

 

って発言してましたね。結局このドラマでのPerson of Interestはリースのことなんだろうなーって思う。

 

POI:

マシンチームはなし。サマリタンの方は4人(全員テロリストではないけど)

E10からE12まで特定のPOIがいないのですが、一応マシンチームとサマリタンチームが直接対決する三部作という扱いらしいです。もしくは次のE13まで入れて四部作。

本編:2014年

E7が11月11日でE14が12月15日あたりなので、E8~E13はこの1か月の間

フラッシュバック:なし