「一首鑑賞」の注意書きです。
- 揉上は剃らないことに理髪師が同意したあと風が出て来た
(岡井隆)
砂子屋書房「一首鑑賞」で永井祐が取り上げていました。
永井祐の「一首鑑賞」とても面白いですね。引用する歌のセンスがまた面白いです。大事件じゃない歌をいい感じに読み解いてくれるのが爽快です。これは、「日常の謎」ミステリーが好きな感覚に近いかもしれない。米澤穂信とかめっちゃ好きですもん。
そしてこの歌の成り立ちだったり読み方だったりが、私には分からない男性のセンシティブな何かに触れていてとても興味深かったです。
揉上げをどうするかについて、しっかりとした話し合いを持ち、双方がメンツを保てるような形で同意しなければならない。おいそれと決められるものではない。
前髪も後髪も大切かもしれないが、揉上げには男性のナルシシズムに関連するセンシティブな何かがある。
ですって。そうなのか…。もみあげってそうなんですね…。この歌について
自身の身を持って男性的ナルシシズムを「引き受ける/いじる」みたいなところの感じが絶妙で、面白く感じます。
と書いていますが、そしたら「女性的ナルシシズム」はどういうところにあって、どうすれば「引き受ける/いじる」ことになるのかなぁ、ってちょっと考えました。おいそれとは思い浮かばないな…。「もみあげ」みたいな絶妙なラインで落とし込めるのってどういう部分でしょうね。コスメカウンターでのBAさんとのやり取り、みたいになっちゃうのかなぁ。まつ毛エクステで長さとかカーブとか本数とか決める時みたいな?あるいは、ネイルサロンでネイルについて相談するときだろうか。
この歌に関しては本当に永井祐の鑑賞文が面白いのですが、最後にもう一首引用されています。
聖イグナチオ教会の昼の鐘が鳴るむろんわたしを慰めるために
この歌についての感想が一行書かれているのですが、とても好き。
同じ歌集からもう一首。「むろん」がノリノリで楽しい。
ですって。
続きます。
真っすぐに重たいバング揃えたらサッチャー錯視より気付くかな (yuifall)