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05x05 - ShotSeeker 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 冒頭、リースでもフィンチでもない誰かがセーフハウスにいることが示唆された状態で始まります。もしリアタイで前回と引き続き見てたら、「えっ?ショウ?」って思わせる感じだったのだろうか。

 今回のエピソードは人助けエピソードがvsサマリタンと直接絡んでくるので面白かったです。ファイナル!って感じ。対象者がいるのは銃声を検知するシステム、ShotSeekerを導入したReal Time Crime Centerです。

 

 ストーリー的には、

 

 対象者ガーヴィンは銃声検知システムで働いている。そこは銃声と他の音(爆竹など)を聞き分け、銃声なら警察官を向かわせるというシステム。そこで数日前にある住居で明らかな銃声を検知したが、それはシステムによって「爆竹」として処理されていた。

 住民クルーパはガーヴィンの高校の同級生。必ずしも好きな相手ではなかったが、不審に思って調べるうちに彼女の研究が素晴らしいものだったこと、彼女が銃声の後姿を消していることに気が付く。

 ガーヴィンは単独で彼女が消えた謎を追っていたために「番号」対象者となったことが分かる。リースは彼と一緒にその謎を追うが、一方でイライアスの行方を知りたいブルースがファスコに接触。ファスコに対する脅しを止めるためリースはブルースと会い、ガーヴィンはファスコと共に捜査をすることに。

 2人はクルーパの研究成果を手に入れようとしていた企業が黒幕である可能性を突き止めるが、銃声検知システムがハッキングされ、ガーヴィンが発砲したと通報が入り、危うく撃たれそうになる。ファスコの機転で難を逃れさらに捜査を進めるうち、クルーパの研究室でまた同様の「発砲音がバックファイアとして処理される」事件が起こり、ガーヴィンとリースは急行。クルーパの同僚であった女性メアリーが撃たれているのを発見する。応援にファスコを呼び、犯人を追うリース。

 同時に銃声検知システムのハッキングの痕跡を調べていたフィンチは、黒幕がサマリタンであることに気が付く。リースと連絡が取れなくなり、サマリタンの工作員に拉致されたと思うフィンチとルート。2人は秘密裏にリースを救い出そうとするが、「相棒が捜査中に失踪した」とファスコが大々的に捜索を始めてしまう。

 フィンチはリースの行方を追いながらファスコとガーヴィンの安全を確保することに。ルートはサマリタンのエージェントを追い、彼を追い詰める。その男はE2でマシンが検知したもののエラーと判断して見逃し、サマリタンに取りこまれたジェフ・ブラックウェルだった。彼はリースの行方を知らず、それどころかサマリタンのことさえ知らなかった。ルートはクルーパの研究に関するデータを手に入れて立ち去る。

 フィンチはサマリタンのエージェントの行方を更に追い、工作員が警察署に向かっていることを知りファスコに警告するが、リースの行方は分からない。フィンチとルートは、サマリタンが人を殺してまで明るみに出ることを阻止したがったクルーパの研究データを多数の科学雑誌にアップロードして公開し、ガーヴィンへの脅威を無効化する(普通は一つの論文を多数の雑誌に投稿することはできないし、公開前に査読とかあってすぐにアップされたりしないけどね…)。

 一方リースはサマリタンではなく、イライアスの行方を知りたいブルースに拉致されていた。「もう隠してはおけない」とフィンチに電話するリース。2人がブルースを案内したのはフィンチのセーフハウス。そこにイライアスは匿われていたが、「生き延びたければ地下にいろ」と諭すのみ。ブルースは「諦めない」と告げて出て行く…。

 

という感じ。

 

 S3後半から人助けエピソードとサマリタン編が同時進行していて、2つのエピソードが独立して進行していることが多かったのですが、久しぶりに2つのストーリーが絡んできて面白かったです。S3後半では人助けには成功するけどサマリタンの起動が進んでしまう…という展開でしたが、今回は人助けに成功すると同時にサマリタンが知られたくない情報も掴んだり、それなりに頑張ってる感じ。

 一方でマシンとサマリタンのシミュレーション対決では100億回戦っても一勝もできないという結果…。これ、どういうシミュレーションなの??フィンチが「私のやり方でやる」と言っていたから、マシンが倫理的拘束を受けた状態のままで各陣営の人間同士を戦わせるシミュレーションということだろうか。シミュレーションの前提条件が全然分からん。

 

 正直、マシンvsサマリタンについては「戦い」って具体的にどういうこと??って感が否めません。サマリタンは倫理よりもロジックを優先させる存在として描写されているし、政府要人も含めてやりたい放題人を殺してるし、もし私がサマリタンだったらS4ラストの段階でブルックリンの変電所ごと爆破してマシンごと皆殺し&強制終了させますけどね。

 周囲の被害とか一切無視すれば、現時点でもマシンの本体がありそう&マシンチームが全員生息しているマンハッタン、あるいはNY州全域に爆弾でも落として皆殺しすればいいんじゃないの?ミサイルをハッキングして誤射できることはS5ラストで証明されてるし。とりあえずその辺壊滅させてから新たにやりたいことやればいいんじゃ?

 今までだって「テロ防止」は完全にぐだぐだだったし、こんなこと書きたくもないけど純粋に戦略面で考えるとNYに原爆落とせば余裕でマシンに勝てるんじゃないのか?AIにとっては時間は無限大にありますし、アセットを含めて人間なんか取り換え可能なわけだしね。サマリタンがそういう戦略を取らない意図が分からない。

 S5のラストあたりで「サマリタンはマシンの消滅を望んでいない」とか取ってつけたような台詞がグリアから発せられたのは、サマリタンのやってることが甘すぎてツッコミどころ多すぎたからじゃねーの、って感じします。

 

 マシンについてはフィンチの思想を受け継いでいるから、「武器を持たない」「副次的被害を出さない」「無辜の市民を殺さない」という様々な条件下で戦わなくてはいけない、という原則が理解できるのですが、サマリタンはマジで意味不明です。

 今回、ショットシーカーシステムをハッキングして限りなく痕跡をなくした状態で女性を失踪させ、しかも失踪が明るみに出た場合に罪を擦り付ける相手まで確保していた…という一見緻密そうに見えるサマリタンのやり口が描かれますが、一方で多くの失踪者や自殺者を出していることで明らかに警官(一般人であるファスコ)に不信感を抱かれているし、そもそもショットシーカーシステムの誤作動は一般人であるガーヴィンに気付かれてすらいます。脇甘すぎない??

 サマリタンは一体何がしたいのか分からないし、それに対してどういう戦略を取りたいのかも意味不明である。単に不気味な感じを出したいだけで全く整合性が取れていないような…。大衆には気付かれないうちに世界を支配する戦略なのかと思いきや、突然「粛清」とか言い出してギャングを堂々とショットガンで銃殺したり政府の人間を大虐殺したり大量の失踪者を出したり、目立つこともいとわないのか?と思いきやショットシーカーシステムをハッキングしたり人間に罪を擦り付けたりマシンチームの人間をこそこそ探し回ったりショウを洗脳しようとしたり、目立ちたくないのか?(←でも一般人を含めて気付いてる人もいる)と、やってることがちぐはぐすぎ。

 サマリタンの取っている手法は端から見てると手ぬるいとしか思えないし、マシンがサマリタンと同じくらいなりふり構わなかったら勝てる(Even her replica's overmatched.)、ってルートが思う気持ちは分からないでもないです。

 

 途中でルートが「マシンに武装させたら」、と言います。で、フィンチは「防御と攻撃の境界はあいまいだ」と答える。フィンチの慎重姿勢は、多分、「自律的アルゴリズムに兵器を与えてはならない」という大原則に端を発しています。つまり、マシンだって目標を「サマリタンを倒すこと」だけに設定してなりふり構わないやり方を取らせれば、NY州に原爆を落とす戦略を取る可能性もあるってことです。だってS4の時点でマシンはサマリタンの居場所を知っていたわけだから、もし武器を持つアルゴリズムであれば、あの精神病院ごと吹っ飛ばす戦略が取れたんですよね。そんなんフィンチが望むはずないじゃん。

 ルートはそれを知っているはず。知っていて、「彼女はそんなことをするはずがない」と思ってる。でもフィンチは、少しでもその可能性があるのならばその戦略はとりたくないと思っているんだと思う。てか、正直「武器は与えるけどやりすぎはしないだろう」ってAIに限度を期待できる気持ちはよく分からん。

 

 フィンチはルートに対して「マシンは我々よりも賢いのだから、必要があれば自分でコードを書き換えるだろう(あるいはコードを書き換えることを指示する?)」と言います。最終的には、結局マシンはソーンヒルを介して私兵を手に入れるし、フィンチに全ての力を与えて望むことは全てできるようにした。それは刑務所の電力を落とし囚人を皆脱走させることも厭わないなど、周囲への被害も辞さない強大な力だった。

 マシンが自分でサマリタンに勝つために手段を選ばない道を選んだのか?それともフィンチが「どんな手を使っても勝つ」と言ったから?実際フィンチが取ったのは、世界中のネットワーク全てを壊滅させる(無限大な副次的被害を及ぼす可能性のある)手段だったわけですし、マシンが、というかフィンチが世界を滅ぼしてた可能性十分ありましたよね。

 

 それにしてもサマリタン編は一見壮大に見えるのですがその実少年漫画感すぎてどんどん白けてくるわ…。人間を守る!無実の人々を巻き込まない!味方チームvs逆らう奴は皆殺し!世界征服!(なのになぜか街を壊滅させたり無差別皆殺し戦略はとらない)敵チーム、っていう。鬼滅の刃か?

 まー、サマリタンのやってることが意味不明なのは今に始まったことじゃないのでスルーするより他ないわ…。

 

 この回は、キャラクターどうしの会話が好きでした。

 ルートとフィンチの、マシンvsサマリタンのシミュレーションすることにしたあたりの会話。

 

「我々の敵の人工超知能のミニチュア・クローンをこのラップトップで培養している」

「保育器で赤ちゃんサマリタンを育ててるのね。ファラデーケージに入れてどうするの?椅子に縛り付けて尋問する?」

「マシンに任せよう。私はマシンのミニチュア・クローンも培養しているんだ」

「戦わせるの?ショータイムはいつ?ポップコーン買って来なきゃ」

「非公開の試合なんだ」

「結局締め出すんじゃない」

 

とか、実際戦わせるにあたってフィンチが「マシンのミニチュア・クローンができた」と言うと「あなたって人工超知能の台頭をとても憂慮している人なはずなのに、新しいのを作るのとても好きよね」ってルートが答えるシーン好き。

 

 あとはルートとフィンチが2人でショットシーカーシステムやFeed The Globeをハッキングするシーンもかっこよくて好きです。Feed The Globeがクルーパの研究成果をハッキングで盗み出されたのにそれを追えなくて

 

I know it, but my IT guy can't trace the hack.

知っているが、うちのIT部門はハッキングの痕跡を追えなかった

 

と言ったことに対してファスコが

 

Maybe my IT guy's better than yours.

多分うちのIT部門はあんたのとこより優秀だろうな

 

って答えるシーンとてもいい♡ ファスコのmy IT guy’sは警察じゃなくてフィンチ&ルートだよね♡

 

 リースと対象者の会話もとてもよかったです。

 

You know, I must've dispatched a thousand cops to a thousand different crime scenes.

僕は何千もの警官を、何千もの異なる犯罪現場に派遣してきたに違いない

Every shooting victim never more than just a name in a file, and then three nights ago, back from dispatch I heard the name like a shot from the past.

銃撃の犠牲者は皆、ファイルに記載された名前以上の存在じゃなかった。そして3日前の夜、発信から聞こえてきた名前は過去からの弾丸のようだった

Krupa Naik.

クルーパ・ナイク

Like, whoa. I know that name.

つまり、ああ、僕はこの名前を知ってる、って感じだ

First time on the job, you know?

この仕事で初めてのことだよ

You knew her?

彼女を知っていたのか?

No, I mean, we weren't friends.

いや、つまり、友達とかじゃなかった

I knew who she was way back in high school, and to be honest, I never even really liked her.

高校時代の知り合いだったんだ。そして正直言って、彼女を好きだったことなんてなかった

Got the best grades, but I always thought she was kind of a kiss-ass.

一番の成績を取って、僕はいつも彼女はゴマすりタイプだと思ってた

Turns out she's out there changing the world while the rest of us are wearing headphones, and now she's gone, and nobody cares.

でも残りの僕たちみんながヘッドフォンを身に付けてる間にも、彼女は世界を変えようとしていたことが分かった。そして今彼女は失踪し、誰もそのことを気にかけない

You care.

君が気にかけている

Another missing persons, three days gone.

ありふれた、もう一人の失踪者だ。3日前の

You know how this ends, don't you?

どうなるか分かってるんだろう?

No, and neither do you.

いや。君だって分からないはずだ

Never lose that.

希望を捨てるな

 

 リースが消えた時のフィンチの慌てぶりよかったし、フィンチがファスコをあくまで守り通そうとする気持ちと、ファスコがリースを思う気持ちが交錯して苦しくも萌えました…。

 

Oh, dear, Detective Fusco is running headlong into Samaritan's crosshairs.

なんてことだ、ファスコ刑事はサマリタンのスコープの中に飛び込んで行っている

Detective, I understand your zeal, but I would urge you to use caution until we know what we're up against.

刑事さん、君の熱意は理解するが、敵の正体を見極めるまでは用心して欲しい

See, that's the thing, Mr. Wizard.

なあ、そこだよ、ミスター・魔法使い

I think you know exactly what we're up against, but you flat-out refuse to tell me.

あんたは俺たちの敵が誰なのか正確に知ってる。でも俺にそれを話すことは全力で拒んでる

Detective Fusco, I assure you...

ファスコ刑事、君に保障する…

Don't tell me you haven't noticed that homicides are dropping, but suicides are up, and so are missing persons.

あのな、殺人は減っているが自殺や失踪者が増えていることにあんたが気付いていないなんて言わないでくれ

There are people disappearing all over this town.

街じゅうで人々が消えてる

Now John's gone too.

今ジョンまでも失踪した

I am not gonna let this one lie.

嘘は言わせない

Not this time.

今回はな

Wonderful.

素晴らしいね

Now we have to save Mr. Reese from Samaritan and Detective Fusco from himself.

今や我々はサマリタンからリース君を助け出すだけでなく、ファスコ刑事を彼自身から助け出さなくてはならない

 

 そろそろファスコに教えてやれ、って思うのですが、今回また息子出てきて心がぐらぐら揺れるリース&フィンチです。それにしてもMr. Wizard.っていいな。

 

 あとは今回リースがファスコ大好きで萌えた。

 

I'll kill you myself you ever go near Fusco again.

お前がもう一度ファスコに近づいたら俺自身でお前を殺す

 

ってブルースを脅したり、最後も「俺のために体を張ってくれてありがとう…、皆感謝してる」ってめっちゃときめく。「皆」って何気に俺&フィンチなのも好き。ファスコもリースを必死で探してくれたし、フィンチは安定のリース大好きでよかったです。リースが消えて慌てふためき、必死で探そうとし、マシンに「リース君が見つかったと言ってくれ」と話しかけ、通信が入ると「ジョン、君なのか!?」ってめっちゃよかった♡最後に「ファスコ刑事が心配していたよ。…もちろん、私たちも」とリースに言って、リースがちょっと表情を変えてファスコに電話するシーンすごく好きです。

 ルートがリースの捜索に必死だったのも萌えました。最初は「プライマリー・アセットはどこ?」ってマシンに話しかけていたのが、「ジョン・リースを探しなさい」になって「ショウは追えない。でもリースまで失わない。まだ間に合うわ」と自ら出て行くとこかっこよかった。フィンチには「あなたは今こそここにいて」と言い残して。

 対決したあの男(ジェフ)、ルートを殺すやつじゃないですか…。今回殺しておけば…とか思っちゃうよね…。あー、でもこの人憎めないし辛いなー。リースが戻ってくるや否や「ヘルパーモンキーは絶滅危惧種入りを免れたみたいね」と悪態つきはじめるのもルートっぽくてかわいい。ルートのことどんどん好きになってきちゃうよね…。

 POIほんと不思議なんですけど、悪役として登場したキャラクターのことどんどん好きになっちゃうんですよね。ルートといい、イライアスといい、カーラといい。ある意味ファスコも最初悪役だった?ま、好きにならない悪役もいるけど(グリアとか)。

 

 最後のリース&フィンチの会話切なかった。

 

Harold.

ハロルド

What's the word from the subway?

地下鉄からは何て言ってる?

Are the simulations up and running?

シミュレーションはちゃんと動いてるのか?

There have been over 10 billion scenarios so far, and I'm sorry to say, the Machine is struggling.

すでに100億通りのシナリオが行われたが、残念なことに、マシンは苦戦している

So how bad?

どれほど悪いんだ?

She's lost every one, John.

彼女は全て負けたよ、ジョン

I'm afraid we're fighting a war we can't win.

私たちは勝てない戦争を戦っているらしい

 

POI:イーサン・ガーヴィン、メアリー・マルホール(両方被害者)

本編:2015年9月(ブルースが「イライアスが撃たれて4か月」と言っているので9月上旬くらい)

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