「一首鑑賞」の注意書きです。
197.雪が降る のを喜んでいるコマのチャーリーブラウンの短い手
(左沢森)
砂子屋書房「一首鑑賞」で永井祐が取り上げていました。
視点の移り変わりによって思考が振り回されるのが楽しい歌です。最初「雪が降る」で切られているので、当然「雪が降る」情景を思い浮かべるのですが、読み進めるとそれは漫画の一コマであることが分かります。そして、漫画→コマ→チャーリーブラウン→短い手、と視点が収束していき、その過程で「雪」から「短い手」に思考が振り回される。最後、手のひらに雪が触れる様子すら思い描ける感じがします。
鑑賞文にはこうあります。
チャーリーブラウンは手は実際に本当に短く描かれている。
この歌の言うようなコマを頭に思い描ける。「喜んでいる」とするのもいい気がします。
最後に「短い手」がくると、詩的なものが立ち上がる感じがします。
特別に付け加えることのないまま漫画のことを言っているけれど、寄りかかる感じはしない。この歌ならではの詩的なものを見つける・作り出す視線がシャープに提示されている感じがします。
「短い手」がいいですよね。本当に、子供が心をいっぱいにして喜んでいる様子が伝わってきて。
最近ミニオンにまつわるお土産を貰って考えていたんですけど、ミニオンのかわいさってあの手の短さにもあるなぁって…。「うわー!」って走って逃げるシーンで短い手を両手とも前に持ってくるあの走り方すごくかわいいなぁって思ってたので。赤ちゃんとか子供の手が短くて、自分の頭頂部に届かないのもかわいいなって思います。
チャーリーブラウンも頭が大きくて手が短く、幼い子供の特徴を兼ね備えています。だからこそ「雪が降る のを喜んでいる」が衒いなく沁み込んでくるのかなって感じました。
永井祐は「かっこいいですよね。やり方が」とテクニック的なうまさを褒めていて、私は普段短歌のテクニック的な部分はよく分からないのですが、この歌に関してはそういう技法も確かにかっこいいなと思いました。
Googleの検索窓を見ていると「みかん」と打ちたくなって困るね (yuifall)