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04x19 - Search And Destroy 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 冒頭の2人の会話。

 

Pick it up, Finch. It's about time.

選べよ、フィンチ。時間だぞ

Is this really why I was summoned first thing in the morning?

そもそもこれが朝に呼び出された本当の理由なのか?

Beats a cup of coffee.

一杯のコーヒーよりも目が覚める

Who knows? You might even enjoy it.

知らないな。君は楽しんでさえいるだろう

While I appreciate the utility of a firearm, Mr. Reese, I don't see the pleasure in firing lead projectiles at inanimate objects.

銃火器の利便性には感謝しているが、リース君、私は無生物対象物に向けて発射体を撃ち出す行為に喜びを見出すことができない

This isn't pleasure, it's business.

これは楽しみじゃない。仕事だ

You've had some close calls recently.

あんたは最近何度か間一髪の目に遭っただろう

Think of it as a machine.

機械だと思えよ

You like machines, right, Finch?

機械は好きだろ、フィンチ

Or maybe a handgun more your style.

拳銃の方がいいか?

I won't be around forever.

俺は永遠にそばにいるわけじゃない

I just need to know you can protect yourself once I'm gone.

俺がいなくても、あんたが自分を守れることを知る必要がある

When the time comes for me to pick up a firearm, all will truly be lost.

私が銃を手に取る時が来たら、それはまさに全てが失われたときだ

 

 前回のストーリーと今回のストーリーの整合性が取れていないせいで、このやり取りの意図がよく分かりません。

 今回はサマリタンの企みに深く関わることになってエージェントと銃撃戦になり生きるか死ぬかの目に遭うので、そのフラグを立ててるような会話と受け取れます。I’m goneという言い方は「俺が死んだ後」というニュアンスに感じる。一方、前回の流れから直接的にこの会話を読み取れば、リースが「俺はいつかアイリスと結婚して普通の人生を送るために離脱するからあんたは一人でがんばれよ!」と言ってるようにも見えるじゃん??逆に、死の危険を感じていて「俺が死んだ後は銃で身を守れ」って言ってんだったらあの恋愛はなんなの??自分が死に近づいてること分かってて一般人と恋愛すんの??

 

 リースが何考えてんのか全然分かんなくて疲れるわ…。永遠にそばにはいない、っていうのは、普通の人生が欲しいってことなのかフィンチを置いて死ぬだろうってことなのか分かりません。普通に考えてサマリタンとの戦いの真っただ中にフィンチを放置して恋に生きるということだとは受け取りにくいのですが、逆に死ぬことを想定しているとしたらアイリスのことはどうなんの?何も知らない一般人の女性を平然と置き去り?ひどくない?

 ストーリーの途中でゾーイが「嫉妬じゃない、心配してるのよ。彼女のことを」と言うの、半分くらいは本気だと思う。半分くらいは嫉妬かもしれないけど、でもいつかリースがアイリスに付き合い切れなくなって別れるか、死んで終わるか、とにかくアイリスが取り残される未来しか見えなくて心配する気持ちがあるのは嘘じゃないと思います。

 

 ほんと、これ、何の意味がある会話?「あんたは間一髪の目にあっただろう」って言ってるけど、クレアの件も前回のルートとの件も別に拳銃があれば解決するような話じゃなかったし、「俺は永遠にそばにはいない」っていうのは恋人ができたから?って感じもするし、でも「俺がいなくても」の「いなくなる」はそういう単純なお別れじゃなくて死を意味してるようにも感じるし、ちぐはぐすぎる。

 正直最初見た時は「恋人ができたからいずれ戦線離脱します」宣言に見えてマジ萎えたんですが、この回最後まで見ると「今までもずっとそばにはいられなくて何度もピンチになってきたから、自分で身を守れるようになってほしい」って言っているようにも見えるし、どういう意味なのか誰か教えて下さい。

 フィンチは「私が銃を手にするときは全てを失う時」と言います。これは、要は死ぬときってことだよね。つまり自殺以外に銃は使わないということだろう。

 そもそもフィンチに今銃を握らせたからって何の役に立つんだか分からなくないか?チームの頭脳が非戦闘員なのはやむを得ないのでは?それにもしリースが自分の死を想定しているなら、フィンチはその後自分だけ生き延びようとは思っていないんじゃないかなぁ。「いつか2人とも死ぬ」「手が足りなければそれまで」って基本に立ち返ってくれマジでリース君。

 

 今回は「世界をAIが支配しているという秘密に気付いてしまった人」の最終バージョンみたいな話でした。今まで何度かこういうタイプの対象者はいましたが、カーンは双極性障害かつ偏執病的なタイプの天才なので諦めるという選択肢を知らず、とことん追求しようとして最後はデシマに殺されます。

 カーンは世界中のPCの80%以上にインストールされているという超巨大アンチウイルスソフトを開発した会社のCEOです。しかし自社の電力が会社の事業とは全く関係のないことに使われていることに気が付き、その理由を密かに探っています。ところがある日、彼自身が構築した世界最強のファイヤーウォールが破られ、彼自身の個人情報が世界中に流出します。財政状況から個人的なメールの送受信記録、果ては奥さんのヌード写真まで。しかも身に覚えのない横領や脱税の証拠もわんさか出てきて、会社からも家庭からも追われ居場所を失います。S3E2と似たようなパターン?と思ったのですが、この人はマジで諦めません。一体なぜファイヤーウォールが破られたのか知りたくてたまらないし、自分の開発中の新しいプログラムを守りたくてしかたない。会社にこっそり入り込んで計器室を調べ、ついに捕まって刑務所に入れられます。

 カーンのファイヤーウォールはフィンチにも簡単には破ることができません。「ルートを呼べ」とリースは言いますが、フィンチは前回ルートに「しばらく顔を見たくない」と言ったばかり。「早く仲直りしろ」とか適当言ってくれるよねほんと。前回何があったのかリースは全然知らないんだと分かってイライラが止まらん。フィンチは最初、アルゴリズムをよく知る内部の人間の犯行だと考えますが、やがて全てはサマリタンの犯行であることに気が付きます。サマリタンがカーンのアンチウィルスソフトを乗っ取り、企みに気付かれそうになってCEOを抹殺しようとしているのだと。

 「加害者がサマリタンなら被害者を守れるはずがない。手を引くんだ」とリースに警告しますが、リースは「彼が殺されるのを見ているわけにはいかない」と引きません。刑務所内で殺されそうになっていたカーンを奪還し、セーフハウスに連れてきます。

 

 この時の状況はちょっと笑える。カーンは縛られたまま気絶してて、3人で中華のデリ食べながら喋ってます。「許してくれたってこと?ハロルド」「今はそれどころじゃない」「彼はサイモン・リーやクレア・マホニーとは違う。納得するまで引き下がらないぞ」「でもどこまで説明する?話せば話すほど知りたくなるだろう」と、どうしていいか分からない3人。カーンが目を覚まし、「AIだ。AIがあんたたちを寄越したんだろう」と怯えます。ルートが「発想は合ってるけど、違うマシンよね」と言って「何の助けにもならないよ、グローブスさん」とフィンチが返すのも笑える。この時リースだけフォークで食べてるの、カヴィーゼルさんがお箸使えないかららしいです。お箸使えないって日本人からすると何か新鮮だよね。

 4人とも、なぜサマリタンがカーンを執拗に殺そうとするのかが分かりません。ルートがカーンのアンチウイルスソフトがどこかに情報を送っていることを突き止め、全員でその位置情報の示す場所(森の中)に向かいます。

 「C4はやりすぎ?」「後悔するよりはやりすぎた方がいいだろう」「でこぼこ道に気を付けなきゃ」って、リースとルートはいつの間にこんなに仲良くなったの?

 

 森の中のよく分からん(ショボい)施設で、乗っ取られたアンチウイルスソフトが何をしているのかを見つけるフィンチとカーン。世界中のPCにインストールされたソフトが探していたのはウイルスではなかった。そこにあるコードを見たルートは「すぐに出ましょう」と言います。追手がすぐに近づいてくる。「これを持て」とリースはフィンチに銃を差し出しますが、フィンチは拒絶します。この時リースが「なら離れるな」って言って、久しぶりに萌えた。これがなきゃPOIじゃないでしょ。フィンチに銃なんか持たせるより、そばにいて守ってくれー。S2くらいの過保護リースが見たいのよー。

 サマリタンの工作員と撃ち合いになってる最中に、リースが撃たれそうになってフィンチが叫んで守ったり(ここでもしフィンチが撃ってたらリースに当たったんじゃ、とか考えてしまった)、逆にフィンチが撃たれそうになってリースが守ったりするシーンもとても好きでした。

 一方ルートは宿敵マルティーヌと対決するのですが2人とも弾切れでまさかのキャットファイトです。なんか二人とも華奢なんで痛々しいぞ…。でも「金髪の方がよかった」ってルートが言い放つシーン笑った。私もそう思うわ。なんで急に茶髪になった?途中でいよいよヤバくなり、カーンの姿も見えなくなって、リースはルートを無理矢理回収して退却します。

 

 この後地下鉄で、「あの女を殺したかった」と言うルートにリースが「ショウは戻って来ないぞ」と言った後で、「そうだな、あんたが正しい。殺させるべきだった」と言い直すシーンあるけど、E17エピソードまるまる一つ使ってフィンチが訴えたことは丸無視?それともサマリタンの工作員だからやむを得ない?

 ルートはマシンの指示で超頑丈なアタッシュケースを奪い取ってきています。最終回への伏線ですね。そして最後まで疑問が止まらなかったカーンはサマリタンの目の前で撃ち殺されて死亡します。

 

 ラスト間際、リースとフィンチの会話。この時2人の肩が触れ合うほど距離近くて、懐かしくて切なかった。

 

Still no sign of Khan.

カーンからは音沙汰なしか

Hopefully he's safe, sitting on a beach somewhere.

彼が安全で、ビーチかどこかに座っているといいのだが

Khan went searching for answers that you wouldn't provide.

カーンはあんたが提供しなかった答えを探しに行った

What did he see down there, Finch?

彼はそこで何を見たんだ、フィンチ

My own creation.

私自身が作ったものだ

When I built the Machine, I didn't use any existing operating system or language.

マシンを作った時、私は既存のOSや言語を使わなかった

Code was one of a kind.

コードもだ

Samaritan knew that.

サマリタンはそれを知った

So if Samaritan started a search for unrecognizable code using traditional means, the Machine would have been alerted instantly.

だからもしサマリタンが通常の方法で通常でないコードを探し始めたら、マシンは即座に警告を受けただろう

So Samaritan found something that the Machine would never detect.

だからサマリタンはマシンが決して気付かない方法を探した

Khan's software.

カーンのソフトウェアか

Installed in every network device.

あらゆるネットワーク機器にインストールされている

Means and an access already in place.

方法とアクセス権がすでにある

It was a brilliant stratagem, really.

素晴らしい方法だよ、本当に

This program, running in the background of your computer, checking every file.

このプログラムは、あらゆるコンピューターで実行されており、あらゆるファイルをチェックしている

But instead of viruses, Samaritan was using it to search for the Machine.

しかしウイルスの代わりに、サマリタンはそれをマシンを探すために使っていた

Did it find the Machine's location?

マシンの場所は知られたのか?

It's only a matter of time.

時間の問題だろう

 

 この後2人の目の前で公衆電話が鳴り出します。ラストシーンでカーンが殺されること考えると、再び番号が出た通知だろうな…。知らないままでもよかったのに、知ってしまうんだって悲しくなった。2人とも傷つくだろうなと…。

 

 こうなってみると前回のエピソードでサマリタンに少しでも反撃しなかったのほんと悔やまれるよね。S4は人助けエピソードには面白いものもあるのですが、人助けを続けるモチベーションがはたから見てよく分かんなくなってくるのと(特にショウの離脱後)、サマリタンに反撃する方法がほぼないこと、それに加えてリースとフィンチの距離が遠いこと(てかリースがフィンチを顧みず頭ぱーんってしてること)も重なって観るのしんどい話が多い。ぶっちゃけ、末期感が漂ってますね。Gleeの時もS5で末期感漂ってたの思い出したよ…。舞台が高校からNYに移ってフィンがいなくなり、人間関係もしっちゃかめっちゃかになって話広げすぎてもう末期だな、って感じ。POIもS3あたりから話が広がりすぎてS4で舞台設定ががらっと変わり、ショウが離脱して、人間関係がしっちゃかめっちゃかになってもう末期です。Gleeもそうだったけど最終シーズンはE13までのミニシーズンでまた舞台を高校に戻して初心に戻る感じで終わったので、POIも最後はリースとフィンチの2人をしっかり描写して終わってほしいなーと思ってます。

 

POI:スレイマン・カーン(被害者)

本編:2015年

E17が3月2日頃でE21が5月5日頃なのでE18~E20はその間

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