「一首鑑賞」の注意書きです。
43.いまを吹く風 恐竜のほんとうの鳴き声を誰もずっと知らない
(近江瞬)
この歌読んで思い出したことがあるのですが…。何かのドキュメンタリー番組だったんですが、白亜紀末期、恐竜の絶滅前あたりの出来事を最新の研究結果を交えてCGで再現、みたいな内容で、その中で
ある恐竜は赤い茸を食べて幻覚に陥った。その恐竜は「赤は危険な色だ」ということを学んだ。
というシーンがあり、えーっ??ってなった。そんなこと、化石から分かるもの??それに、茸を食べるくらいなんだから植物食恐竜なんでしょうが、じゃあ木の実とかで赤いやつは食べないの??
それから、
ティラノサウルスの赤ちゃんは死ぬために産まれてくるようなものだ。メスは生涯にだいたい10頭の子を産むが、生き残るのはそのうちの1頭にすぎない。
ってナレーションがあって、これも謎だった。一夫多妻制であっても、メス1頭につき1頭の子孫しか残せないんじゃ出生率日本人より少ないし、そもそもどうやって増えた??
恐竜のドキュメンタリーって、どこまで本当なのかなあ。
そして冒頭の歌に戻りますが、確かに「ほんとうの鳴き声」は誰も知らないのかもしれないな、とこの歌を読んで初めて思いました。映画とかドキュメンタリー番組とかの恐竜の鳴き声って、想像なのかな。それとも骨格からの復元なんだろうか。形態についても、実は羽毛があったとか最近言われてますよね。
もしかしたら映画のジュラシックパークとかジュラシックワールドみたいに、いずれDNAの復元などによって鳥類の遺伝子組み換えで恐竜が作り出せたりするんだろうか。断片化したDNAからの復元はかなり難しいとは思うのですが…。映画だと「こわいー!なんでこんなの作っちゃったのー!」ってなるけど、実際作れるのなら相当夢があるよねって思う気持ちもあります。
解説に
この歌は意味としては「いまを吹く風」と太古の恐竜とを対比しているのだが、そのわかりやすい対比を「風」と「恐竜の」の間の句割れで強調しているところがうまい。
とあり、全然そんな読み方できてなかったのですごく勉強になりました。そうか、「いま」と「古代」の境目が「七」の中にあるのが面白いんですね。
それにしても
子供の頃から恐竜が好きで、短歌を好きになってから嫌いになるまでの期間よりも、恐竜を好きでいる期間の方がずっと長いので、恐竜が出てくる歌はつい採ってしまう。
と書いてあり、短歌を好きになって嫌いになって、今はどっちなんだろう。私は短歌を時々好きになるけど、嫌いになったことはないな、嫌いになるほど関わったことないな、って、これを読んで思いました。
あと、恐竜が好きってなんか男の子っぽくてかわいいですね。Gleeでも「恐竜プロム」のシーンでマイクが目を輝かせててかわいいなって思ったし(笑)。
恐竜の声を覚えているような月は朧に傾いて春 (yuifall)