北溟社 「現代短歌最前線 上・下」 感想の注意書きです。
大田美和④
自転車のサドルがみんな盗まれる月煌々と風のない夜
今まで紹介した歌と全然テイストの違うものを集めてみた。こういうのが不意に混じってるとどきどきします。あっ、この人ってこんな顔もするんだ…みたいな(笑)。自転車のサドルがみんな盗まれる!いきなり石川美南とか笹井宏之の世界観に!不条理ワールドへようこそ。まあ、現実にもないわけじゃないのですけど…。高い自転車持ってる人って分解して持ち歩いたりするよね。盗まれるから。
首の折れたスワンのケーキを選びたる私も少し壊れて眠る
これも面白いよねー。少し壊れて眠るのかー。スワンのケーキは食べ終わってお腹の中にあるのか、それとも一緒に冷蔵庫で眠ってるのか、どっちなんだろう。しかし想像余裕だけど、実際スワンのケーキって見たことないかも…。ググったら想像通りのものがいっぱいヒットして、食べてみたくなっちゃいました。
本当に愛していたら歌なんて作れないよという説もある
こういう系統の短歌時々見ますよね。石川不二子の
みづみづしき相聞の歌など持たず疲れしときは君に倚りゆく
とか、与謝野晶子の
詞にも歌にもなさじわがおもひその日そのとき胸より胸に
とか。まあ、私も、本当に夢中だったら写真なんか撮れないよな、とか、言葉になんてならないよな、とか思ったりする反面、『ぼくの短歌ノート』の「ハイテンションな歌 現代短歌編」の章を見てて、恋愛の絶頂で我に返らないまま歌を歌える才能を持っている人もいるんだなーと思いました(笑)。しかしなんにせよ、「本物の愛」とかそういう言葉が好きでないし、本当に愛していることを歌にしたっていいんじゃないでしょうか(笑)。
Au revoir愛し終わればCになるどんな花にもとまらぬ蝶に (yuifall)
千年後感覚だけできみと会うまばたき一つでいいなりの恋 (yuifall)
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