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ぼくの短歌ノート-「ハイテンションな歌 現代短歌編」 感想

講談社 穂村弘 著 「ぼくの短歌ノート」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

ハイテンションな歌 現代短歌編

 

 この章は短歌そのものよりも解説がすごい面白かった。というか紹介されている短歌はそれこそ解説に

 

性愛的な局面では誰もがハイテンションになって当然だが、その陶酔に身を任せて詠えるかどうかは作家の資質による。短歌というジャンルでは、生の現場において我に返らないことも才能の一つなのだ。与謝野晶子を筆頭に優れた歌人の多くは、読み手を驚かせ、ときには辟易させるほどの陶酔感を言葉に込めている。

 

とある通り、おーう、家で2人きりでやれ!って感じの歌が多いんですけど(笑)、解説されることによって面白い気がしてきます(笑)。そしてこの解説を読んで、私には「我に返らない才能」がないことがよく分かりました(笑)。

 

やはらかなあなたの舌を吸つてゐるもしかしてディープ・キスなのかしら (西澤孝子)

 

なんて、最初読んだ時は、え?なんなの?って思ったんですが(笑)、

 

もしかしなくても「ディープ・キス」だろう、というのは平常時の意識による突っ込みで(中略)「かしら」のイノセントな響きがおそろしい。

 

という解説を読んで、確かに!って思いました。そっかぁ、そういう読み方なのか…。現実の正しさを超越するテンションの高さね…。ああ、難しいですね。つまり、わたしとあなただけは特別、っていう瞬間でしょ?その才能はやっぱないな私には…。

 

 そして最後の

 

畳のへりがみな起ち上がり讃美歌を高らかにうたふ窓きよき日よ (水原紫苑

 

は圧倒的ですね…。また解説の引用ですが、

 

「畳のへり」は和風に見えてクリスチャンなのか。また、この歌の特徴は、ハイテンションの理由が読み取れないところだ。失恋とか得恋とかキスとか青春とか死とか、そういう背景が全くわからない。強いて云えば狂気だろうか。

 

とあって、なんというか全然意味が分からないのですがものすごくうわっときました。

 

 ハイテンション、奥深いですね。。正直、どこからそのテンションが湧いてくるのか全然分からない水原紫苑のような歌は絶対に作れないと思います。マジで圧倒されました。

 

 

完璧なきみのハートを抉るためベタ踏みで今クラッシュするぜ (yuifall)

この鎖骨 胸鎖関節くり抜いて丸い先っぽしゃぶっていたい (yuifall)