書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。
笹井宏之
えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい
この人の死後に出された歌集、「えーえんとくちから」を本屋で立ち読みしていて本屋で泣きました(その後買いました、もちろん)。歌集で泣いたのは永田和宏の『たとへば君』以来かもしれません。。こんな魂が実在していて、こんな言葉が生まれるのかっていうことにものすごく感動しました。ヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』を読んだ時の感動というか…。
こういう人の魂に私のようなモブ的な人間は生かされているのかもしれないって思うことがあります。10億人の人がいたら、一人くらいは美しい魂の持ち主がいて、私はそれ以外だけどでもそれでもいいや、その人の魂の輝きに少し触れられればいいやって。ちょっと宗教っぽい発想かも。
晩年のあなたに窓をとりつけて日が暮れるまで磨いていたい
とかさぁ…。どうしたらこういう言葉が生まれるんだろう。
歌集にも紹介しきれないほど好きな歌が多くて、このアンソロジーには載ってないのですが、
世界って貝殻ですか 海ですか それとも遠い三叉路ですか
っていう歌とかすごくすごく好きです。
どうしてこんなに好きなのか説明できないんですよね…。以前も書いたようにポエジー型短歌よりエピソード型短歌の方が親和性高くて読みやすいなって感じることが多くて、いわゆるニューウェーブ系統の歌にそれほど傾倒せずに来たのに、ニューウェーブの申し子みたいな笹井宏之にこんなに感動した理由がよく分かりません。夭折されたことを知っているからかな、とも考えたのですが、多分それだけじゃ説明つかないと思う。
笹井宏之の歌は、なんか人間の思考を超えてる感じがするんですよね。淡い光を放つ魂に直に触れたみたいな、しびれるような切なさを感じました。ニューウェーブの完成形がここにあるのかも、って思います。
水なしで飲むから喉に痞えてる あなたが、粉末状のあなたが (yuifall)
白っぽい脂のぼくはさびしくて誰かを愛したがってるのに (yuifall)
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