書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。
坂井修一
水族館(アカリウム)にタカアシガニを見てゐしはいつか誰かの子を生む器
この短歌、初めて読んだときから呪いのように頭にこびりついています。タカアシガニを見るたびに、それどころかカニの看板的なものを見るたびに思い出す。
女の子、多分彼女とデートで水族館に来て、でもこの子はいつか誰か違う男の子供を産むんだなって思ってる歌なのかな、と思いながら読んでたんだけど、でももしかしたら全然全く見知らぬ相手とか、もしくは娘とかなのかもしれないなぁ。自分の娘を見ながら、いつかお嫁に行っちゃうんだな、みたいなさ。
「女性は産む機械」発言などが糾弾されて久しいですが、この「器」という表現はもっと冷めた感じがして、あまり嫌悪感はおぼえないです。なんというか、いいとか悪いとかではなくて単なる科学的事実というか…。まあ、本当に将来「誰かの子を生む」かどうかはともかく、そういうポテンシャルがあるという意味で…。
しかしこういう歌作れる人ってすごいですよね。もう、初見のインパクトが絶大すぎます。加藤治郎の戦争の歌と同じくらいのインパクトだわ。水族館でデートしながら?こんな風に考えている男の人がいるというだけで、宇宙ってすごいな、って気がする。なんか。
他は
ニュートリノ地球貫通せよ われに花も紅葉もふるさともなし
大夕焼ばらんばらんと泣くからに奇人変人ほろぼしてはならず
などがあって、この人は東大教授(情報学)なのですね。確かに東大京大の「奇人変人」が未来を切り開いていく感じしますよね。高い山は裾野が広いっていう言葉ありますが、こういう何かを極めた人の言葉ってなんか重たいなぁ。ほんと中身のない感想でした(笑)。
土器のように求めて撫でてくださいね広げた腕が枯れて朽ちたら (yuifall)
ピペットにウサギ血清吸へるとき科学は切ない祈りと思ふ (yuifall)
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