書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。
紀野恵
カフカ読みながらとほくへ行くやうな惚れあつてゐるやうな冬汽車
カフカは、どこか夢の世界というか現実でないところに連れていかれるような感じですよね。本を読みながら汽車に乗っているのかな、と思ったのですが、惚れ合っているような、というところで汽車同士がすれ違っている?駅に停まっている?それとも、本の中の話であって現実ではないのかも、と思いました。
千ガロン紅茶つひやし夏にあふ幾つもの午後幾つもの午後
ひと夏の午後をずっと、紅茶を飲みながら読書とかに費やして家で過ごした光景を想像しました。何の紅茶かな。ダージリンかな、アッサムかな。夏の午後、テラス的なところで、白い華奢な椅子に腰掛けて優雅に紅茶を飲む女性の姿を思い浮かべました。夢見すぎかな(笑)。
全体的に夢の中の美しさみたいな、美しい光景を想像させる歌が多いなと感じました。
悲歌うたふ人の咽(のみと)の動きして流るる河を見てをりけふも
本当に、こんな美しい言葉どこから出てくるのかなぁ。角川短歌賞受賞したとき17歳だったようです。天才なのかな。天才っていう言葉しか出てこない自分の語彙が死んでますね。こういう言葉って訓練?というか勉強して出てくるものなんだろうか。
短歌の評論とか読んでると、そんな読み方するんだ!とか色々考えることが多くて、ほんとぜんっぜん理解できてないなーって思うのですけど、理解できるように勉強したらこういう言葉って生み出せるのだろうか。やったこともないのに無理じゃね?って思うのはダメなのかもしれないですが、やっぱ無理じゃね?って感じしますね。こういう言葉遣いしてる時点でダメ(笑)。やる前からできないのが明らかなことってあるよね、オリンピックとか絶対出られないし(笑)。
ボローゴエ駅で降りたしボストンにHopeless Romantic(行き先のないろまんす)詰めて (yuifall)
西洋鉋きりきりとくれなゐの氷の浮かぶグラスの露滴 (yuifall)