書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。
池田はるみ
冷えびえとふところひらくをんなだと冷蔵庫のことおもつてゐたよ
確かに中を冷やして色々と食糧をため込んでいる感じ、女性っぽいなぁと思いながらしみじみ読んだのですが、ドイツ語やフランス語で冷蔵庫は男性名詞のようです。男か女かって言われたら女っぽいけどな。改めてWikipediaで冷蔵庫を調べてみると歴史とか冷やし方の原理とか色々書いてあってちょっと面白かった。家電を男性か女性かと考えると、なんでしょうね。電化製品は全体的に女性っぽいですね、なんとなく。でもこういうのって何なんだろう。どんなイメージが性別を連想させるのか?こういうのも性差別でしょうか。
死ぬ母に死んだらあかんと言はなんだ氷雨が降ればしんしん思ふ
これは切ないです。死にたくて死ぬのではない人に、死んではいけないとは言えないよね、本人が一番つらいもん。もしかしたら病気とかで、お互い覚悟があったのかも。だけど、やっぱり、死なないでって言いたかった、言わなかった、って氷雨の降る日に思い起こしているんですよね。
この人の「一首鑑賞」のコーナーで
とあって、方言を使うことによってよりお母さんを思う気持ちが鮮やかに浮かび上がるなぁと思いました。「死んだらあかん」って…。
失ふと思へば全世界のやうで 今死んぢや嫌(ではいつならば) (yuifall)
がんばれない まだがんばれる 花弁の数など予て知りゐしものを (yuifall)