いろいろ感想を書いてみるブログ

短歌と洋楽和訳メインのブログで、海外ドラマ感想もあります

短歌タイムカプセル-花山多佳子 感想

書肆侃侃房 出版 東直子佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

花山多佳子

 

ことごとく生きてゐる人、生きてゐる人だけがどつと電車を降りくる

 

 それはそうなのですが、改めて言葉にされると、すごい数の人間の人生がそこにあるなぁと思いますよね。そして、じゃあ死んでいる人は電車に残るのか?とか益体もないこと考えましたが、やっぱり回送電車には誰も乗っていない気がする。死んでいる人も。

 

ふうせんがおもい ふうせんがおもいと泣いてゐる子供はしだいに母に遅れて

 

 これも繰り返しの言葉が印象に残る一首です。ふうせんがおもいのか…。ヘリウムのやつかな、それとも空気のやつかな…。お母さんが子供を待ってないっていうのが妙にリアルで面白く、ちょっと怖いですね。そのうち子供がいなくなってそうで。

 

しかたなく洗面器に水をはりている今日もむごたらしき晴天なれば

 

 なんて歌もあります。ここまでくると、もしかしたら笑ってもいいのかな?って気がしてきますね…。「あー今日もウザいほど晴れてるわ…。仕方ねーから顔洗って準備するか…」みたいな(笑)。

 ちなみに前回の花山周子の母のようですが、2人ともけっこうツボに入って笑ってしまう歌が多いんですけど、笑っていいのかどうか、私の感じ方がおかしいだけかもしれないしちょっと自信ないです(笑)。

 

 

ことごとく死んでゐる人、死んでゐる人だけがずらりとスチールラックに並ぶ (yuifall)

分け合えぬなら全てが無駄と言うごとくdpiを上げる自画像 (yuifall)

 

 

「一首鑑賞」-95 - いろいろ感想を書いてみるブログ