「一首鑑賞」の注意書きです。
352.まもなく君が帰り来る夜を見つめたり あをあをと埃のやうな月光
(米川千嘉子)
砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで澤村斉美が紹介していました。
待つ歌、ですね。これ読んで
君を待つ土曜日なりき待つという時間を食べて女は生きる (俵万智)
を思い出しました。「待つ歌」ってたくさんありますが、何となく確かに女の歌というイメージがあります。百人一首では
今来むといひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな (素性法師)
が有名ですが、これも女性の気持ちを詠んだ歌だそうです。
やすらはで寝なましものをさ夜更けてかたぶくまでの月を見しかな (赤染衛門)
も女が待つ歌ですね。まあー、この時代は通い婚だからそりゃそうか。近代だと
待つといふ苦しきことを知らぬ身となりたる今日のあはれなるかな (原阿佐緒)
が思い浮かびますが、現代短歌だとどうだろう。専業主婦全盛期の戦後はやっぱり女性のものなのかもしれませんが、平成後期~令和だとどんな感じなんですかね。みんな携帯で連絡取れるからすでに待たないのか?あるいは男性が待つ歌ってあるかな。待ち合わせとか色んなシチュエーションがあるし、絶対あるとは思うんですが今ぱっと思い浮かばないです。
鑑賞文には
相手が帰れば、会話が始まり二人の時間に切り替わるが、待つ間は一人。徒然にもの思いをすることもあるだろう。人を待つゆえに生まれる一人の時間と向き合うことを、「夜を見つめたり」は含んでいるのではないか。
とあり、やっぱり「待つという時間を食べて」ってことなのかなぁ、と思いました。
それにしても、「埃のやうな月光」という表現が秀逸です。
待っていた 異国の薫り身に纏い夏に心を疼かせながら (yuifall)
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