いろいろ感想を書いてみるブログ

短歌と洋楽和訳メインのブログで、海外ドラマ感想もあります

04x14 - Guilty 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 なんかサマリタン編突入以来感想が愚痴ばっかになっちゃってるんですが、このエピソードすごい好きな反面すごい嫌。というか、好きであればあるだけ嫌悪感が募るというか。何が嫌ってアイリスね。アイリスとリースの会話によってこのエピソードの良さがことごとく台無しにされてて、どう感じたらいいか分からん。

 

 ほんとめっちゃ色々考えたし超書いたので、まず最初にWikiを見て面白かった小ネタを書いときます。

・この回、S1E5と雰囲気が似てるんですが、脚本家が同じ人だそうです。

・また、全エピソードで初めて銃撃戦がない回だとか。確かにそうか…。殴り合いでしたね…。

・フィンチの陪審員逃れの電波発言はオープニングシークエンスの要約で、その後結局陪審員に選ばれた時

"Professor Whistler, your number is up."

って言われてます。

・この時マシンが電源が切られていたはずの携帯を鳴らすのですが、電話が鳴ってしまった人は「しかも俺の着信音と違う」と言います。流れた曲はM.C. Hammer の U Can’t Touch This なんですけど、これはかつてフィンチが「リース君はメスで君はハンマー」と言い、ショウが「今はハンマーの時間だよ」って返したやり取りへのオマージュなんだとか。この歌の歌詞では Stop, Hammer time! って言ってるので多分そのこと。

yuifall.hatenablog.com

陪審員への招集命令によると、ウィスラー教授の生年月日は1962年4月7日で、住所は 750 E 72nd St Apt 620, New York, NY 10021だそうです。裁判の日にちは2014年12月15日。

 

 この話は久々にR&Fの2人での人助けもので、S1E5のエッグベネディクトのシーンを彷彿とさせる展開で2人の息も合ってるしかつてのPOIの空気感でとてもよかったのですが、割り込んでくるカウンセリングのネタが全てを台無しにしていて気持ちがぐちゃぐちゃでした。見返す時は基本的にカウンセリングのシーンは全部飛ばしてるんでいいんですけど(笑)、とりあえず嫌だったこと先に書いちゃう。リースとアイリスの展開についてかなり愚痴ってるので読みたくない人は自衛お願いします。

 

 まず、このストーリーは、自分たちの仕事に人を巻き込んだためにショウは生死不明になり、ルートもいなくなった。しばらく2人に戻ろう、というところから始まり、2人はファスコの協力も遠ざけます。でも調べを進めていくうちにゾーイが協力してくれ、ファスコも手助けしてくれ、2人とも、いつの間にか大切な仲間ができていたことを知る。S1E5の本当に2人きりだった頃の、ようやく2人の気持ちが少し通ったシーンと対比するように、2人はもう初めからセットで、さらに仲間がいるから孤独じゃない、ということが示されます。

 でもそれと並行して描かれるのが、「リースが人を遠ざける今までの生き方を変えて恋をする」話って…。

 

 分からないでもないと思うのは、S1S2ではリースの心を救っていたのは「仕事」だった。「ある人が仕事をくれたんだ」というのが彼の心を支える「生きる目的」だった。で、そろそろカーターがいなくなってから1シーズンぐらい経ってるし、次のステップ「恋愛」に進んでも…、みたいなのはあるのかもしれない。あと、ラストに向けて「サマリタンとの戦いに終わったら君に伝えたいことがあるんだ…」フラグね。

 でも、S1からS4までかけて変わってきた仲間との絆が丁寧に描写される一方、それと並行して描かれるのがたった1話でカウンセラーに心の内を打ち明けて恋に発展する話、ってどうなの??雑すぎん??しかも今回リースが自らカウンセリングに足を運ぼうと思ったきっかけは、使い道のなくなったショウの複数のパスポートを見て…、だった。ショウを失ったから2人に戻ろうってフィンチと約束し、これ以上仲間を失わないためにファスコを遠ざけ、リースが切ない目をして…ってとこでこっちも切なくなってたのに、その後カウンセリングに行って女とべたべたし始めてマジで萎えました。遠ざけるべき相手を間違ってません??

 あとこの状況でカウンセリング行くってどうなの??別にメンタル的にずっとタフでいろと思ってるわけじゃないけど、リースのメンタル面での挫折はS1E21とかS3のカーターの死のあたりでもう十分描かれてて、この後S4E20もあるし、これ以上いらん。あと今までフィンチのメンタル面は誰も救済してくれてないけどどうなってんの、って思いましたけど。

 

 ファスコとゾーイはマシンのことは知らないけど、リースが危ない「副業」をしてることを知ってる仲間。でもアイリスは一般人です。ここで一般人との恋愛を選ぶということは、彼女を危険に巻き込むか、もしくは自分が「副業」を辞めるかしかない。フィンチはグレースを守るため二度と会わない覚悟で死を装ってまで遠ざけたけど、それでも彼女は危険に巻き込まれた。それを知っていてなぜ恋愛しようと思う?フィンチが何年も愛する人に会うこともできず、自分自身も信念も全てを彼女を救うために差し出したのを目の当たりにしていて、彼に「行かないでくれ」って頼みさえしたのに、今アイリスと恋愛したら自分が同じ立場になるかもしれないとどうして想像できないの?一般人と恋愛するってことは「ライリー刑事」として生きていきます宣言にほぼ等しいし、つまりはAI戦争の真っただ中にフィンチを捨てて行くしかないけどそのこと分かってる??

 

 以前も書いたんですが、アイリスとの恋愛の描き方はリースが「仕事か恋愛か」を選択せざるを得ない状況になるとしか思えなくて、特にこのエピソードに関してはフィンチとの絆を描きたいのかいずれ訪れる決別を描きたいのかはっきり言って分からず、どう受け止めていいのかよく分からなかった。後でリースとアイリスが付き合うことになった次のエピソード(S4E19)でフィンチに対して「俺もずっといるわけじゃない」って言ってるので、一般人と恋愛していつか普通の生活を選び、フィンチとは手を切る決意なのかなって考えたりもしたんですよね。

 しかしストーリーの流れとしてはそういう状況じゃないのも事実で、決定的に決別を描きたいって感じでもないし、でも決別する気がないのだとしたらフィンチと仕事しながら一般人と恋愛できると思ってる見通しの甘さに激萎えです。最初からそんな普通の人生がないことは彼自身の過去を振り返っても明らかだし、それに「いつか2人とも死ぬ」の一言でS1E1から分かってたはず。それを知ってて選んだ道なんじゃなかったの??

 特に今回冒頭でその台詞が繰り返されるので、それを知っててなぜ、って思ってしまった。自分は人には言えない危険な仕事をしていて、いつか死ぬ。それが分かってて、それを言うこともできない相手と恋愛する??分かっていてもどうしようもなく心惹かれてしまう…みたいな説得力のある丁寧な恋愛描写は全くないし、不満すぎます。カーターだったらその点納得できたのに…。いっちょやってみっか!みたいなノリでモブと恋愛すんのやめてください。

 これさあ、ネイサン死亡、グレースは全てを捨ててイタリアへ、カーター死亡、ショウ生死不明、ルート消息不明の原因が全て自分にあると思ったフィンチがとうとう心折れてカウンセリングを受けることになり、全然知らん魅力的なカウンセラーの女性にいきなり「自分は人を助けるつもりでとんでもないものを作った。だから愛する人さえずっと遠ざけてきた。でもそろそろ生き方を変える時かも」とか言い出したらこのタイミングでこいつ何言ってんの????ってなるだろうに、リースなら許されますか??絶対無理。

 

 あと、今までキャラクターの内面は丁寧に描写されてきたのに、突然雑に言語化されてんのも何だかなーってなった。フィンチの幼少期&青年期のエピソードすごくよかったのに、リースは「8歳の時車で隣家に突っ込んだ」と数秒の台詞で終了ですか…。「親父の話は初めてだ」とか言ってたけど、ファスコにしてたよね?もうほんと無理。アイリスと話してるリースが馬鹿っぽくて無理すぎる。恋すると馬鹿になるってことですか??フィンチと話してる時のリースは何万倍も魅力的すぎるのにどうしてこうなる??

 私は個人的にはフィナーレの後フィンチだって今さら普通の人生なんて無理でしょ、と思ってるんですが、グレースに会いに行ったことがはっきり描写されている以上、リドルストーリーの一つとして「グレースと普通の人生を送った」ENDが示唆されていることは事実です。同じように、全て終わった後で平凡に生きる、リースを待っている女性がいる、という役割を誰かに負わせたかったのかもしれないという一定の理解はあります。でも、前も書いたけど、今さら新キャラ出されてもリースの「戻るべき場所」として感情移入できないし、このAI戦争真っ只中に(戦友とですらなく)カウンセラーと恋愛するという脇の甘さはジョン・リースというキャラクターを描写する上でマイナスにしかならないと思う。

 とにかくアイリスと恋愛するストーリーについては全てが受けいれがたく、本当に残念に思ってます。誰かリースとアイリスの恋愛にポジティブな意見をお持ちの人いたらマジで萌えどころ教えてほしいよ…。皮肉じゃなくて本当に、だってアイリスが出てからS4楽しくないもん。ポジティブな意見を知って楽しく観たい。ストーリーが多少破綻しても許せるけど、萌えがないと辛いんですよ…。

 

 POIに恋愛要素求めてないのは前も書いたけど、どうしてもドラマの演出上必要だったらここではファスコが恋するエピソードにしてほしかったな。S1はリースとジェシカ、S2ではフィンチとグレースの過去の恋愛がメインで、S3前半ではリースとカーターの深い絆が描かれ、後半ではフィンチとグレースのエピソードに一旦決着がついた。で、S4前半ではルートとショウの恋があり、後半にまたリースの恋愛…よりもここではファスコに真剣な恋人ができるのが相応しかったと思います。

 ファスコなら一般人と恋愛しても全然おかしくないし、モブとの仲が急に深まっても応援できる。ファスコが真剣な恋をしているのを見て「彼を巻き込むのはしばらくやめよう」ってなるのは自然だし、最後「危険でも俺を遠ざけるな」ってなるのもまたいいじゃないですか。そもそもファスコには息子がいるから、一般人の恋人が加わっても今までのキャラクター設定やマシンチーム内での立ち位置は変わらないし。

 絵面の問題??でも個人的にはリースとアイリスの絵面、耐えられないです。どうせ見るならファスコが自分より背の高い美女と恋愛してる方が目に優しいけどな…。

 

 とまあ散々嫌だったことを書きましたが、以下、アイリスとリースについては脳内から抹消して続けます。カウンセリング話さえなければ萌えエピソードだったんで…。

 

 冒頭、久しぶりに2人でダイナーにいるシーンからスタート。ルートからも連絡はなく、ショウの手がかりもない。ショウを追っている間に出ていた「番号」が手遅れだったこと、イライアスの関係者が数名失踪していることが分かります。フィンチは陪審員に招集され、「手が足りなければファスコとどうにかする」とリースが言います。

 

Now, about that, after everything that's happened...

そのことなんだが、今までに起きたことを考えると…

Perhaps it would be best if we left him out of our operations for now.

今は彼を我々の仕事から遠ざけた方がいいのではないかな

When we started, you told me we'd both wind up dead.

これを始めた時、あんたは俺に言った。2人とも死んで終わると

This is worse.

今、もっと悪いことになっている

You're right.

あんたが正しいよ

If we're short-handed, we're short-handed.

もし手が足りなければ、手が足りないってことだ

We're not bringing anyone else into this.

他の誰も巻き込まないことにしよう

It's just you and me again, Mr. Reese.

また君と私の2人だけだな、リース君

 

 まあ、冷静に考えればS1E1からファスコはいたんですが…。でも、この会話とても好きです。他の誰ももう巻き込まない。2人だけに戻ってまた小さな人助けを始める。いつか2人とも死ぬだろうが、手が足りなければそれまで。S1E5のダイナーのシーンからここまできましたよ…。やっぱりこの2人のバディあってこそのPOIだと思いました。

 色々あったけど2人に戻ったな、と切なげに目を伏せるリースかっこいいし、マグカップを両手で抱えるフィンチかわいい。原点って感じです。

 

 この後フィンチが色々手を尽くして陪審員に選ばれまいとするシーンが笑えます。最初はハッキングして細工しようとするのですが、なぜかコマンドが選択できなくなってしまい「何だ?」となっているうちに呼び出されてしまう。で、「世の中は今AIに支配されようとしている。もはや政府は人民の人民による政治をしていない」とサマリタンに当てこすった陰謀論者の電波発言全開で難を逃れようとしますが、結局選ばれてしまいます(笑)。

 そんな中リースはマシンからの番号通知を受けます。

 

Finch, we just got another number.

フィンチ、番号が出た

I'm a touch busy at the moment.

今ちょっと手が離せない

Yeah, but I think the Machine wants you to handle this one personally.

ああ、だがマシンは個人的にこの件をあんたに処理してもらいたいようだ

How can you possibly know that?

君は一体どうやってそれを知ることができた?

Because I just tracked down our new number, and she's sitting right next to you.

俺は新しい番号を追跡してきたところだが、彼女はまさにあんたの隣に座ってる

 

 このシーンもめっちゃ好き。いつの間にか法廷に入り込んできているリースがフィンチを見ながら、「対象者はあんたの隣にいるよ」って。こういう会話懐かしいな…。懐かしいとか言ってんのが悲しいな(笑)。とにかくフィンチが陪審員に選ばれたのはマシンの意図だったことが分かります。

 

 対象者エマは被害者か加害者かはっきりしない。裁判所で忙しくしているフィンチに代わりリースが調べものを担当しますが、その合間にショウのパスポートを見つけてしまう…。その時ファスコからの通信が。ファスコはリースが調べていた失踪者の件を代わりに調査していたのですが、「俺の仕事に手を出すな」とリースは協力を撥ね付けます。ショウもルートもいなくなった、カーターも死んだ、ファスコをそんな目に合わせるわけにはいかない…。リースの苦しい思いやりが伝わってきます。

 そうこうしている間にエマが誰かに脅されていることが発覚。また陪審員の一人がアナフィラキシーで外れ、誰かが裁判を操ろうとしていることが分かります。そこに現れて協力してくれるのがゾーイ。ゾーイ久しぶり!ゾーイとリースの関係よかったのになあ~。陰にどんなフィクサーがいて、誰をどう操ろうとしているのかを探ります。リースはゾーイをセーフハウスに連れてくるのですが、ぷんすかしてるフィンチかわいい。

 

Court is adjourned, Mr. Reese.

裁判は延期になったよ、リース君

What have you been--

君は何を――

Ms. Morgan.

モーガンさん

Harold. It's lovely to see you.

ハロルド。会えて嬉しいわ

And so unexpected.

思いがけないな

John? A word?

ジョン?ちょっといいか?

I thought we agreed not to involve any more innocent people in our work.

もうこれ以上我々の仕事に何も知らない人たちを巻き込まないことでお互い同意したと思ったんだが

Well, Zoe's not exactly what I'd call innocent.

あー、ゾーイは、正確には何も知らない人には当てはまらないのでは?

Besides, she insisted.

それに、彼女がやりたがったんだ

And saying no to Ms. Morgan was never your strong suit, was it?

それに、モーガンさんに「NO」を言うのが君の特技であったことはない、そうだろう?

Boys, are we gonna work or what?

ボーイズ、仕事するの、しないの?

 

 「2人きりって言ったじゃない!」「うーんでもゾーイがやりたいって…」「断れないのよね!分かってる!」と、彼女と彼氏とその女友達みたいな会話が繰り広げられております(笑)。この時のフィンチの「ジョーン??」って言い方めっちゃかわいい。

 

 被告人を無罪にさせるために陪審員が操られているのでは、と考えた3人は、有罪を主張するためにフィンチの特訓をします。これがまた笑える。

 

Based on all the evidence we've seen, I think it's hard to imagine that he's not guilty.

今までに見てきた全ての証拠に基づけば、彼が有罪でないことを想像するのは難しいと思う

What about the trainer who saw him leaving the gym at the time of the murder?

殺人の時間に彼がジムを去るところを目撃しているトレーナーについてはどう考えるんだ?

That's reasonable doubt right there.

それは合理的な疑いだ

I suppose, technically.

厳密にいえば、そうだろう

Every situation has some measure of uncertainty.

どんなことにも計測値のばらつきによる不確かさは存在する

Harold, this isn't science. It's law.

ハロルド、これは科学じゃないの。法律よ

Rational thought doesn't apply.

合理的な考え方は適応されないわ

The cell records clearly place Chad near the house when it happened.

それが起きた時チャドが家のそばにいたのは、電話の記録からも明らかだ

So? I hear that can be faked.

そうか?そんなのは誤魔化せるって聞いたぞ

I got a friend who can do it.

俺にはそれができる友人がいる

Now, that's just cheating.

今それを言うのは裏切りだ

 

 フィンチが科学者っぽい言い回しするのもおかしいし、「電話の履歴なんてどうにでもなるだろう?」って言ったリースに対して「今それを言うのはずるい!!」ってなってんの超かわいい。このcheatingの発音めっちゃ好きだし、「浮気者!」みたいで萌えましたすみません。この後もゾーイに「しゃべり方が丁寧すぎる。中西部出身なの?」とか煽られてて笑えます。フィンチ、いつも丁寧じゃん(笑)。

 いやーほんと裁判に向いてないですよね。S3でもコリアー君に散々揚げ足取られてたしね。でもそこがかわいい♡

 

 散々特訓されたフィンチはぐったりして帰り、リースとゾーイの2人が残ります。「この後は?」と聞くリースに、「色々することはあるけど、あなたが誘ってくれるなら別よ」と返すゾーイ。めっちゃいい感じ!と勝手に盛り上がったのですが、リースは「することがあるんだ」と躱します。じゃあどうしてそもそもこの後の予定なんか聞いたんじゃボケが。ゾーイは笑って、「あら、気になる人ができたのね」と余裕の返答。そうですよ姐さん、あなたが散々馬鹿にしてたカウンセラーに…あーだめだ、アイリスのことは脳内から抹消して続けます。ゾーイは「あなたのことはあなたより分かってる。私もあなたもつかの間の関係は得意だけど、誰も心には入れない」と言って立ち去ります。

 

 リースはどちらとも取れるんだよね。一人の人間に執着するタイプにも見える。ジェシカをずっと愛してて、彼女が結婚してもずっと好きで最後は夫を破滅させた。次にカーター、多分彼女のことは初対面からずっと好きで、死の間際に愛を自覚してる。

 でもその一方で、ジェシカのことは自ら遠ざけて別れを選んだし、多分互いに死の淵に立たなければカーターへの愛を自覚することもなかった。フィンチとも一定の距離を保って接していることがS4E20で分かる。誰にも大切なことは打ち明けていません。家族のこと、父の死のこと、軍で負った心の傷のこと、幻のカーターにした「写真」の話、かつての仕事のこと、ジェシカのこと。人を撃つことや人を殺すことが自分にとってどういう行為なのか、今の仕事が自分にとってどういうものなのか。リースは最後まで、誰かのために生きよう、誰かと一緒に生きよう、というモチベーションのない人だった。カーターに「死ぬときは君にそばにいてほしい」と打ち明けたのがリースの人生の中で最大瞬間風速だったよね。

 だから個人的にはゾーイの言ってることが正しいと思ってる。誰かを心の中に入れて、平凡でも一緒に生きていこうって思えるタイプの人間じゃないんです。

 

 だけど分かんないのはこのシーンを入れた意図なんだけど…。S1E23の段階ですでにリースはゾーイに、「まっとうな世界で生きている女性があなたを理解できるとは思えない」「カウンセラーに惚れる男とか(笑)」と言われてる。なのに敢えてカウンセラーと恋愛フラグを立てて、ゾーイに「あなたは誰かに心を開ける人じゃない」と言わせるのは、この後「そんなリースがまっとうな世界で生きている女性に心を開こうとしている」(それだけ特別な女性なんだ)という展開を描きたかったのか「やっぱりゾーイの言う通りだった」(そりゃそうだろ)って展開を描きたかったのかよく分からんです。

 ファイナルシーズンが縮小した都合かもしれませんが結局は後者になったわけだし、これじゃあリース間抜けすぎん??主役をそんな扱いしないでほしかったよ…。

 

 翌日、陪審員の話し合いが始まります。エマは早速とりまとめ役を買って出ます。被告人を無罪にするつもりだ、と思う3人。

 ゾーイが Showtime, Harold.(ハロルド、ショータイムよ)って言うのも面白かったけど、その後リースが Give 'em hell, Harry.(やってやれハリー)と言ってフィンチが Please don't call me that.(私をそう呼ばないでくれ)って言うの笑った。ハリーはルートの専売特許ですもんね♡

 しかし、これ「本当はハリー呼びは嫌だったがルートに言っても無駄だから言わなかった」ということなのか、「ハリーと呼んでいいのはルートだけ」なのか「ルートがいない今そう呼ばれるのは辛い」なのかどれなんでしょう??リースが今さらハリー呼びし始めたのおかしかったです。ほんとはずっと呼んでみたかった??

 

 この後の展開も笑える。フィンチが練習通り一所懸命「被告人は有罪だ」と主張したのですが、想定に反してエマは「そうね、有罪だわ」と…。何かがおかしい、これは被告人を有罪にしたい側の工作なのでは?と疑った3人。リースとゾーイが調べている間、フィンチは一転して「いや、有罪ではないかもしれない。もっとちゃんと検討しよう」と議論を引きのばすハメに。しどろもどろになりながらがんばって議論を引きのばすフィンチかわいい。ようやっと休憩時間になり、ぐったりしながらリースに「何か分かったと言ってくれ」と言うシーン超好き。

 

 リースとゾーイは真犯人の犯行動機につながる重要書類をゲットしてました。この時の会話も面白い。

 

I'm sending you a technical report on Caroline's 5K system.

キャロラインの5Kシステムについての技術レポートを送った

Need you to translate it into normal English.

普通の英語に翻訳してくれないか?

Where did you get this?

どうやってこれを見つけた?

Looking over the evidence, we started to think that there might be a cover-up going on at Infinince.

証拠を見直していたら、Infinince社が隠蔽しているものがあることに気付いた

So I used some of your hacking tools to break into their servers.

だからあんたのハッキングツールを使って彼らのサーバーに押し入った

We found this in one of Caroline's deleted e-mail threads.

そしてキャロラインの消されたメールスレッドの中にこれを見つけた

Well, I can see why she deleted it.

なぜ彼女がこれを消したか分かったよ

It's a consumer safety evaluation for their 5K system.

これは彼らの5Kシステムの消費者安全評価だ

The cell towers were operating at more than 200 watts, producing ground-level absorption figures far in excess of the SAR limit of 1.6 watts per kilogram.

電波塔は200ワット以上で稼働しており、発生する地上レベルの吸収は1キログラムあたり1.6ワットという電磁波エネルギー吸収比率の上限を大きく上回っている

Did you not hear the part about English, Harold?

英語についてのくだり、聞いていなかったの?ハロルド

The 5K cell towers could microwave people.

5K電波塔は人体に電磁波を与える

Exposure like that could cause any number of health problems-- nausea, migraine headaches, even cancer.

そしてその暴露は様々な健康被害を来しうる――吐き気、片頭痛、癌でさえ

 

 「普通の英語にして」って2人の言い分も笑えるし、無視して「電磁波エネルギー吸収比率の上限がうんぬん」とか喋り出すフィンチかわいすぎます。こうして真犯人とその動機が分かったところで敵対するフィクサーが新たな情報を流し、陪審員は通信を遮断された状態で一晩ホテルに泊まることになります。

 こんなことほんとにあるのかなあ?アメリカの陪審員制度がよく分かってないので何とも言えませんが。通信を遮断される直前のリースの台詞好き。

 

Don't worry, Finch.

心配するな、フィンチ

We'll keep an eye on you and Emma and find a way to get to the bott--

俺たちはあんたとエマから目を離さない。そして真相を探る道を突き止め…

 

 さて、ホテルに隔離されるフィンチですが、ネット回線をいじれないか(なぜか薄暗がりの中)部屋を調べていると銃のレーザーポインターを当てられます(笑)。慌てて逃げるのですが、それはモールス信号でした。

 

Relax...Finch... it's... me.

安心しろ…フィンチ…俺だ

Please... stop... pointing... that... thing... at me.

頼むから…そんなものを…私に向けないでくれ

Don't worry. Pretty sure... it's not loaded.

大丈夫だ。確実に…弾は入っていない

 

 このやり取りめっちゃ笑った。久々に面白い回でしたねほんと。「うわー」ってなるフィンチに、ニヤニヤしながら「俺だよ」ってリース。でフィンチもすかさずモールス信号で返信。ハイスキルすぎん??

 なんやかんやあってエマが自殺しようとしているのをフィンチは止め、エマは自分が脅されることになった経緯を話します。必死に慰めるフィンチ。エマは最後にこう言います。

 

But can you imagine how that would feel?

でも、あなたにはこれがどんな気持ちか分かる?

To know that something bad was gonna happen and it was your fault if it doesn't get stopped?

何か悪いことが起ころうとしているのを知っていて、もしそれを止められないのが自分の失敗だとしたら

 

 フィンチほどそれを知っている人はいないでしょう…。こういう、さりげないシーンに心情を組み込んでくるのすごくうまい脚本なのになぜ…(以下略)。

 マシンがエマを助けるのにフィンチをご指名した(by リース君)のは、こんな風に感じている相手をあなたが助けてあげて、というマシンからのメッセージだと感じました。フィンチはもう一人じゃない、一人で戦わなくてもいい、というラストシーンに繋がってくるのかなと。

 その後もこれが見たかったー!展開ですごい萌えた。エマが話し合いをまとめられないと気づいたフィクサーが乗り込んできて、たった一人議論を引きのばし続けたフィンチを自殺に見せかけて殺そうとします。そこに助けに来たのはもちろんリース!激しい肉弾戦になり、リースがもう少しで刺される…ところでフィンチが犯人をランプで殴りつけます。ついにやりましたね…。やればできる子。で、犯人はバルコニーから落ちかけるのですがリースはそれを救います。「なぜ助けた」と聞かれて「法廷で裁かれろ」って言うシーンめっちゃ好きだ。

 

 裁判は被告人無罪で無事終わり、真犯人を捕まえに来たファスコとリースが話します。ファスコが失踪者の件でリースに話しかけ、リースが「人前だぞ」って言うのちょっと笑った。「こんな、人前で…」みたいなの何??まあともかくファスコはリースに協力してくれ、

 

Look, I get it.

なあ、俺は分かってるんだ

After what happened to Shaw, you and Glasses are worried the same thing's gonna happen to me.

ショウに起きたことの後で、あんたとメガネは俺にも同じことが起こると心配してる

And you know what?

それがなんだ?

It might.

起こるかもしれない

And I'm fine with that.

で、俺はそれでもいい

You don't get to decide what or who I'm willing to die for.

俺が何のために、誰のために死ぬかあんたが決めてくれなくていい

I made my choice a long time ago.

ずっと前に俺は決めたんだ

So stop shutting me out.

俺を締め出すのはやめろ

 

と言います。ファスコ超イケメンじゃない??かっこいいわー、これはリース君も惚れるわー。

 

 ラストシーンは最初のダイナーで、ファスコと一緒に失踪者の件を調べている、とフィンチに話すリース。

 

I thought we agreed to leave Detective Fusco out of our business for now.

今はファスコ刑事は我々の仕事から遠ざけておくと決めたと思ったんだが

I tried.

そうしようとした

But he's like a fungus.

でも彼はカビみたいでな

We can't bring anyone new into this, but we also can't do this alone.

新たな誰かを引き入れることはしないが、2人だけではできないだろう

A conundrum I know all too well.

その難問は私もよく知っている

After all, Mr. Reese, that's why I hired you.

結局のところ、リース君、だから私は君を雇ったんだ

 

 フィンチの微笑みと、リースの優しいまなざし。2人の信頼関係がここまで来ましたか、という感無量なワンシーンでした。フィンチが時々見せてくれるデレがたまらんです。

 かつてジェシカに「人は結局一人、助けは来ない」と言っていたリース。全てを失ってフィンチに助けられ、「生きる目的」を貰う。ショウに「俺たちは闇の中にいるが、一人でなくてもいい」と伝え、彼女の心を動かします。そして今、ゾーイとファスコの協力を受け入れ、フィンチに「俺たち2人だけじゃない」と。

 

 2人で色々な喪失や挫折を乗り越えてきて、それでも一緒にやっていこうという気持ち、他の人の愛情を受け入れようという気持ち。それをS1からS4までかけて丁寧に描いてくれた仲間との絆のエピソードに留めておいてくれれば文句なく大好きな話だったのに…、と、本当にやり切れない思いです。とりあえず「新たな誰かを引き入れることはしない」って言ったからね今!!

 

 人助けパートの秀逸な面白さと、カウンセリングパートの馬鹿馬鹿しさの振れ幅が激しすぎて心がついていけない回でした…。

 

POI:エマ・ブレイク(被害者?加害者?)

本編:2014年12月15日~

フラッシュバック:なし