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04x18 - Skip 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 Skipは「保釈中に逃亡する人」という意味らしいのですが、このエピソード、「一回飛ばし」の意味のスキップとしか思えないほど意味が分からんでした。

 

 まず分かんなかったのは、アイリスがリースに「次からカウンセラーが変わる」と言った時、リースが「俺の過去について話したからか?」と言うのですが(原文ではI told you about some violence in my past.)、この「過去(暴力)」って一体何のこと?

 前回からの続きと考えるとジェシカ絡みのことかなと思ったのですが、まさかジェシカの夫にしたことを喋った??そんなまさか、って思ってしまった。

 

 そもそもS4の設定に立ち返ると、携帯やらPCやらはサマリタンに監視されてて、リースは「ライリー刑事」になってる。ライリー刑事は4年間麻薬課で潜入捜査をしていたから経歴がはっきりせず、ただし軍歴はない、ということになってる。アイリスとのセッションの内容がフィンチに漏れていないのはフィンチが盗聴を自粛しているからなのかリースが携帯を持ち込んでいないからなのかはよく分かりませんが、仮にリースもアイリスも携帯を一切持ち込んでいないからここでの内容は一切外に漏れないと考えたとしても、アイリスは絶対、セッションの後でカルテ書くはずです。それはサマリタンに見られる可能性がある。だからどれだけ守秘義務があるといってもライリーの経歴に矛盾することは言えないし、リース本人の過去につながることも話せないはず。

 で、その辺の設定はガバガバであると考えたとしても(笑)、ジェシカ絡みの暴力沙汰の話をしていたとすれば、ピーターを殺した(あるいは半殺しにした)話は避けて通れないですよね??「その後どうしたの」ってことになるじゃん?「廃人になっていたのですがある人に仕事をもらって今があります」なんて言えるはずなくない??てことはジェシカとは関係ない「過去の暴力」と解釈せざるを得ず、前回のフリがどうであれ、ジェシカ関係のあれこれは打ち明けてないんじゃ?って思わざるを得ないです。

 

 リースとアイリスのセッションの内容がはっきり描かれないので、リースが何をどこまで打ち明けていてアイリスとどんな心の交流があったのか全く分からないのもフラストレーションの原因なんですけど、でも状況的に総合判断すればリースはライリー刑事の経歴に矛盾しない当たり障りない「暴力的な」過去を打ち明けたに過ぎない、と考えるしかない。

 

 アイリスとの関係で何を描きたいのか全然分かんなくてイライラすんのよ。「リースの内面を描写する」目的にしてはカウンセリング内容はブラックボックスだし、「今度は待っていてほしいと頼む」相手にしても感情移入できるほどの関係性が描写されないし、「普通の生活を送る」のはマジで無理です。最初から諦めてください。てかそこから始まった話じゃん。

 「最初から死んでいる」2人の人間として出会って始まったのに、「生きている」身分をゲットしたとたんリースだけが普通の生活に戻ろうとしてんのが分からない。普通の生活に戻りたければ別にS1~S3のどこかでフィンチに偽身分を貰えばそれでよかったはず。なぜ今さらそれをしつこく描こうとするのだろうか。

 

 この回のラストでリースはアイリスと付き合うことになるんですが、この後2回しか出てこないし(しかも最後の1回は別れるエピソード)、交際期間もおそらく3月~8月の半年程度です。その間リースは(S4E20の後)多分ですけど低体温症で入院してたんじゃないかと思われるし、(S4ラストからS5冒頭にかけて)「遠くに行け」と言って彼女とほとんど会ってないっぽいし、S5E2が6月で「数回デートした」と言っててS5E3が8月でそこで別れてて、結局両手で数えるほどしか会っていないのでは??この交際の意味が分からなさすぎてほんとに困惑するよ…。

 

 この回は対象者フランキーが魅力的だったから余計腹立ちます。S4、ショウの降板があったからか強くて美人でかっこいい女が次々に出てくるんですが、シルヴァやアナ、ハーパー、フランキーみたいな女たちと一緒に戦っておいてアイリスに戻るシナリオって一体何が目的なんだ…。全然分かんないよ…。私はシルヴァ推しですが、カーターの若い女互換みたいなんでリースとくっつけるのは無理だなって思ってて(ファスコとのバディなら全然あり)、でも今回のフランキーだったらよくない??リースとの相性もよさそうだったじゃん♡見た目も綺麗だし。

 まあ一緒に戦う女性は戦友で恋人は非戦闘員というのは少年漫画とかでもありがちなパターンではありますが、そうなると一番適切な距離感なのはやっぱりゾーイになっちゃうよね…。初期のPOIで、その後も時々会っていて、協力はしてくれるけど戦闘員ではなく、という。アイリスとの恋愛で分からない点は無数にあるのですが、シルヴァ、フランキー、ハーパー、ゾーイが登場する回でアイリスと距離が縮まっていくのがほんと分からん。彼女たちよりもアイリスと恋愛するモチベーションが見えてこないもん。

 まあ結局最後はフィンチが一番大切だったってことで勝手に納得するわ…。リースが非戦闘員を好きなのは仕方ない。誰かを守りたい人なんだよね。そこにモチベーションがあるんだわ。そういうことね。

 

 フランキーは正体不明の美女で、レイという悪党を追ってる。被害者か加害者か分かりません。途中でハーパーが登場してレイの逃亡を補助したり、全貌が見えないまま話が進行します。でもとにかくフランキー強くてかっこいいし、リースと手錠で繋がれたままアクション!とか去り際にキスして手錠で繋いで行っちゃう!とかちょっと不二子ちゃんみたいで好きでした♡

 最後フランキーは兄の死のことでレイに復讐しようとしていたことが分かり、色々あって大混乱の銃撃戦になるのですがハーパーの仕切りで丸く収まります。なんでこいつが仕切ってんの?と最初思ったのですが、ソーンヒル(マシン)がハーパーの背後にいることが分かる。マシンがハーパーをアセットと認識し、何らかの仕事をさせているっぽいフラグを立ててきます。

 

 対象者関係の話は面白かったしまあいいんですが、フィンチとルートがまた何やってんのか全然分からん…。どうしてこうなった感が凄い。要はフィンチが香港でエリザベスのPCに仕込んだトラップをルートが台無しにする話なんですけど、このストーリーいつからこうなるって決まってたの?無駄にフラグ立てて無駄に折ったの?それともショウの離脱でストーリーを変えざるを得なかった?しかしフィンチが香港に行った回はすでにショウの降板への流れができ始めていたので、ショウがいないためにストーリーを大幅に変えざるを得なくなったとも考えにくいのですが…。

 この話本気でなんのためにあったのか分からず、こんな風に無駄にするんだったらそもそも香港に行くエピソードそのものがいらなかったし、マジでイミフでした。

 

 フィンチはエリザベスのアルゴリズムにサマリタンが興味を示すことを予期しており、あらかじめエリザベスのPCにトロイの木馬をインストールしていた。エリザベスがサマリタンに接触する時にアクティベートするつもりでおり、決行の時が近づきます。

 一方ルートはフィンチの意図に気付いていて、いずれ必ずサマリタンに検知されると危機感を抱く。フィンチがサマリタンに殺されるのを防ぐために、フィンチがエリザベスのPCに近づけないようにしようとします。というか、エリザベスを殺して、フィンチがエリザベスのPCに近づくこととエリザベスのアルゴリズムがサマリタンに渡ることの両方を阻止しようとします。当然エリザベスの番号が上がってきて、フィンチが異変に気付く。ルートは誤魔化そうとしますが、エリザベスの脅威はルートであることにフィンチは気付きます。

 

 フィンチも当然、サマリタンに感知される危険性には気づいていた。だから、「この計画は自分の命を危険に晒す価値がある」と言います(しかし、これでほんとにサマリタンがフィンチを殺すと思うなら、その前にエリザベスの身が危ないんじゃ…と思いますけど…。どうなのこの計画)。しかしルートは「あなたを失うことはできない」と。フィンチは不審に思う。マシンが誰かの命を他の誰かの命よりも価値があるとみなすはずがない。「マシンにとって私は無用のはずだ」と言うフィンチに、「違う、私が、あなたを失うことはできない」と返すルート。「マシンはやめろと言った。戦いには犠牲がつきもの。でも、あなたを失うことはできない。あなたとショウを失うことはできない」と。

 

 ショウがいなくなったからストーリーが変わったのかなあと思わせるような、いやそもそもこのチームにフィンチを犠牲にするという発想はなかったじゃん、と思わせるような…。すごいもやっとする。でフィンチは「私が死ねば彼女を殺す必要はない」と毒を飲んじゃいます。飲んじゃうのかよ。死ぬまで長いな。ルート、「すぐに死ぬわ、苦しまない」とか言ってたけど長くない?注射と経口摂取の違いですか??

 結局ルートはエリザベスを殺すのを諦め、フィンチを病院に連れて行きます。一体何なんだこの茶番は?

 

 それにしてもルートがフィンチ好きすぎてなんだか…。「あなたがいなかったら私はどうなっていたかしら」「あなたがしてほしいことだったら何だってするわ」「あなたを殺させないためなら彼女に死んでもらうしかない」「あなたは私にとって大切な人。あなたを失うことはできない」と、ラブ全開です。萌えるっちゃ萌えるけど、ルートのラブは恋愛とは全然違うベクトルだし、どう受け止めていいのか分からん。。超ファザコンの娘みたいです。パパの新しい恋絶対反対!!みたいな。

 

 エリザベスは、ルートが送った匿名の告発メールをフィンチがやったものと勘違いして2人は仲たがいし、最終的にフィンチはエリザベスのPCに近づくことはできなくなってプログラムの起動は阻止されます。殺さなくてもよかったんやないかい。意味不明すぎるわ。

 この時エリザベスは「香港のことも全て嘘だったの?」とフィンチに言います。フィンチは、「全てではない」と返します。この時、必死で言い募ることだってできたはず。実際ウィスラー教授の部屋は荒らされていたし、誰かに侵入されたんだ、自分がやったのではない、と必死で言えば彼女は分かってくれたかもしれない。分かってくれなくても、部屋に入れて話だけは聞こうと思ってくれたかも。チャンスはまだあったはず。でも、フィンチは「全てではない」の一言で終わらせてしまう。サマリタンとの戦いよりも、自分を思うルートの気持ちを優先させることに決めたんだと思った。それに、エリザベスとの未来がないことだってフィンチは分かっていたはずです。

 

 このエピソード、リースとフィンチが別行動していてそれぞれやたら女たちとわちゃわちゃしているのですが(リースにはフランキー、ハーパー、アイリス、フィンチにはエリザベスとルート)、それぞれがある一人の女性からの(リースはアイリスの、フィンチはルートの)愛を受け入れるという結末を迎えるにも関わらず、あまりにもその描かれ方は対照的です。ていうかリースがぱっぱらぱーすぎんか??

 

 前回のエピソードもそうでしたけど、フィンチがずっと一人で傷つき続けているのになぜリースは浮かれてんの??ネイサンの死を一人で乗り越え、グレースとは二度も辛い別れを経験し、カーターとショウを失った辛さはフィンチだって同じです。そして今回はエリザベスやルートとの関係も拗れてしまった。これら一連の出来事に対する救済は全くと言っていいほど描かれない。それどころか前回エピソードではネイサンの件をカウンセラーに打ち明けるフィンチをファスコがいじってるしさぁ。次回のエピソードで、今回のルートとの一件についてフィンチはリースに一切語っていないことが分かります。リースはこの回、ハーパーについて「ハロルド、電話しろ。ハーパーはマシンからメッセージを受け取っている」とフィンチに伝えていますが、その時異変に気付いた様子もありません。

 フィンチが死にかけていることにも気づかず、その後語り合った様子もなく、これほど2人の距離が遠かったことって今までなかった。下手したらリースが全然知らないところでフィンチが死んでた可能性だってあったんですよね。E15のクレアによる拉致事件もそうだけど、リースはそれらのことをスルーしすぎじゃないですか??

 

 S4無理なのほんとそれ。フィンチがリースのこと思いやらなかったのってS3ラストのグレースと交換で敵の手に落ちた時くらいだったので、リースがフィンチを思いやらないターンが続きすぎてしんどいよ。

 まあ、とはいえ、もしかしたらこれが普通の距離感なのかもしれず、なんだろう、こっちがバグってんのかな(笑)。S5でフィンチが「我々が距離を置かなくてはならない理由はこれだよ」とか言ってたから、S3以前に比べて2人がわざと距離を置いていた、ってのは何となく分かるんですが。

 

POI:フランキー・ウェルズ(加害者)、エリザベス・ブリッジズ(被害者)

本編:2015年

E17が3月2日頃でE21が5月5日頃なのでE18~E20はその間

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