百人一首現代語訳 感想の注意書きです。
七十二・音に聞く高師の浜のあだ波はかけじや袖のぬれもこそすれ
金葉和歌集 巻八・恋下・四六九 詞書「返し」。前歌「堀川院御時艶書合によめる 中納言俊忠 人しれぬ思ひありその浦風に波のよるこそいまはほしけれ」への返歌。 祐子内親王家紀伊
噂に聞く高師の浜の浮気な高波をかぶらないようにしよう。
袖が濡れたらこまるから。
恋に泣くのはいや
有名なプレイ・ボーイの
あなたの言葉に後悔しないように
有名な高師の浜の
波に濡れないように
後の祭りの涙はいや
(さ・え・ら書房 『口語訳詩で味わう百人一首』 佐佐木幸綱)
名に高い 高師の浜の 暴れ波
いやだわ 寄ったら袖が濡れるわ
チャラいってほんとなんですかと聞いてみたいなエレベーターの箱の中 (永井祐)
この歌も、詠んだ女性は老齢だったということで有名です。「艶書合」っていうのがそもそも何だか分からなかったのですが、恋歌限定の歌合だとか。中納言俊忠の歌に対する返歌であって、架空の恋歌ですね。「ハイハイ、そんなこと言って私をからかったって無駄よ。本気じゃないの分かってるんだから」っていう感じ。男の方も「ですよねー」みたいな(笑)。
永井祐の解説には
この歌はその女性側からの返歌で、ようするに、いい女風に振っているという体の歌である。作者の紀伊はこのときすでに七十歳くらいのおばあさんだったと、解説書にはたいてい得意気な感じで書いてある。
とあって笑いました。得意気な感じ!いい女風の歌を婆さんが詠うなよ、っていう?私はむしろそういうの好きですね。RPGですよ。昔の人の方がそういうのおおらかだったのかなぁって思う。今の七十代、こんな歌詠めるだろうか。
この永井祐の現代語版めっちゃ好きです。主人公目線でも相手の男目線でもなく、まさかの相手の男の同僚視点(笑)。これはちょっと私の頭には全くない発想でしたね。「チャラいってほんとなんですか」って面白すぎます。この歌、Rumors (Jake Miller)の歌詞を思い出すなー。解説に
こういうことは今の時代でも百人近くが働くオフィスのビルなどで噂としてよく流れるので、わたしも耳にしたことがある。(中略)エレベーターで噂の人と乗り合わせると、スーツの着こなしやらワイシャツの柄に「チャラさ」の形跡があるのではないかと、ちらっと見てしまう。けれど、そうは見えない。いつか飲み会などで偶然となり合わせたら、聞いてみてしまおうか。いきなり悪そうな目になってくれるかな。
だってさ(笑)。BL的発想をすると、それを聞いて口説かれちゃうのは永井祐ですね♡
というわけでチャラ男視点で作ってみた(が、これってある意味一周戻っている感じもします)。イメージ的にはRunaway Baby (Bruno Mars)です。
噂って?ほんとのことを知りたいの?二人きりなら教えてやるよ (yuifall)